参加メンバー 新井 春雄 他7名(登頂者6名)
■8月6日(火)(晴れ)
成田空港よりアエロ・フロートロシアに搭乗し1時間遅れで飛び立つ。長いフライトでモスクワ空港に着く。空港では現地エージェントの日本語堪能のロシア人女性が待ち受けていた。大型バスでホテルに。市内は渋滞していたが無事にホテルに着く。4つ星級のホテルで部屋も清潔で良い。鎌倉市からの参加者と同部屋となる。
<タイム>
成田空港発(13:00) モスクワ空港着(22:00日本時間)(現地時間18:20)
ホテル(19:20)
モスクワのホテル |
テレスコルのホテル |
レンタル店 |
■8月7日(水)(晴れ)
ホテルよりバス移動でモスクワ空港につき国内線に乗る。1時間遅れでミン・ボディ空港に着く。現地クライミングガイドとエージェントの女性が空港前に待ち受けていた。車2台で、一路登山基地へ向かう。道路はよくないがかなりのスピードで走る。周辺は穀倉地帯でトウモロコシとヒマワリ畑が果てしなく続く。途中、軍隊の検問所の通過。ミネラル炭酸水の吹き出る源泉の見物をして、登山基地となるテレスコルのホテル・チベルダ・チュゲットに着く。休憩後、クライミングガイドによる個別の装備点検をする。3名が靴にも問題あり、他、ゴーグルも必須とのことでレンタルをすることになった。
<タイム>
ホテル発(7:30) モスクワ空港発(9:55) ミン・ボディ空港着(12:00)車移動 テレスコフ (チベルダ・チュゲットホテル着)(17:45)
■8月8日(木)(晴れ)
チベルダ・チュゲットのホテルより高度順応に車2台で出発する。ロープウエイ利用で一気に3,000m以上に登る。終点からリフトに乗り継ぐのだがリフトは停止中で動く気配もなく徒歩で登る。クライミングガイドのビーバー氏は、3,800m直下を平地並みに登る。33歳の隊員と私だけが何とか後に続く。因みにガイド・ビーバー氏は185センチぐらい細身のクライマーで精悍な顔立ち、ハイペースベース歩行が似あう。隊員の中で早すぎるとの声も出たが、当人は大して気にしていない。標高3800mのバレステ小屋に着く。小屋周辺は昔と同じで廃物が多い。雪上車脇を通り抜け、氷河帯に入る。表面は5月の富士山ぐらいだがその下は氷である。緩やかな斜面だがガイドの歩行はあいかわらず早めで後部が離れる。クライミングガイドは見ないふりして皆さんを見ていますからと、ツアーガイドの仙石氏は話す。ガイドはもっと登ると言った。
バレルス小屋 |
ガイドのビーバー氏 |
が、隊員の意見で4200m付近で下山をする。リフトとロープウエイを利用してテレスコフに下りる。昼食ロケーションの良いレストランでビールを飲みながら食事をする。その後メンバー全員でレンタル店に行く。赤松の巨木帯の歩道を1kmぐらい歩いたところにある。私もゴーグルをレンタルする。3名ほどが靴をレンタルすることになったが小さいサイズが無く、明日に調達できるとのことでレンタル店を出る。
<タイム>
テレスコフ・ロープウエイ発(9:10) 終点(9:50)徒歩テバレルス小屋着(11:05)
レンタル店(17:10)テレスコル(20:30頃着)
■8月9日(金)(晴れ)
朝、ホテルより車で出発する。BCとなるバレルス小屋へ移動である。途中、レンタルを済ませてロープウエイ駅で降りる。ロープウエイは順調に上がったがリフトは途中で停止した。重いザックを抱えて宙吊りが1時間続く。14年前にきたときもこれに似たようなことがあった。この国ではよくあることらしい。リフト終点から5分ぐらい歩いて、山頂往復のベースとなるバレルス小屋に着く。バレルス食堂で昼食する。この食堂は貨物のコンテナを改造したようなもの。料理長は歌手のセガワエイコを一回り大きくしたような美人。娘らしき若い子はロシア美人。料理もうまい。食後、順応にスタートする。クライミングガイドのビーバー氏が張り切ってバスツーコフ(4,700m)まで登ると息まいている。隊員の中から連日の登り下りでアタック日のスタミナが心配だという隊員が出てきた。意見をガイドに言い11番プリュート小屋(4,157m)までとする。大きな岩塔には遭難者のプレートが多くあった。暫く休憩してバレルス小屋に下山する。
<タイム>
テレスコル(9:00)レンタル店(9:20)ロープウエイ駅(10:00)バレルス小屋(13:10)
11番プリュート(17:15)バレルス小屋(18:00)
11番プリュート(17:15)バレルス小屋(18:00)
バレルス小屋内 ベッド6床 |
先頭ツアーガイド(仙石氏) |
■8月10日(土)(晴れ)
朝食後ゆっくりとしたリズムで順応にバレルス小屋をスタートする。2名が体調悪不良で不参加となる。今日は4,700mのバスツーホフ岩までだが、隊員からそこまでは無理との声が出てきた。2回の小休止で4,300メートル地点まで登り、体力温存ということで下山する。下山は早いが全員がというほどでもない。日中はスノーモービルがスノーボーダー・スキー客を乗せて頻繁に登り降りをしている。スピードは60キロぐらい出している。昼過ぎにバレルス小屋に着く。
<タイム>
バレルス小屋(8:25)4300m地点(11:40)バレルス小屋(13:00)
■8月11日(日)(晴れ)(アタック日)
早朝、ヘッドランプの明かりでアイゼンを装着する。風もなく寒さはない。小屋より50メートル離れた所に雪上車が待機している。アイゼンでは滑りそうな鋼鉄製のキャタビラ上を歩き乗車する。全員乗車後ただちに発進する。氷河上は力強いエンジン音を響かせ、ばりばりと標高4,700mまで上る。先行している雪上車のライトが3、4点見える。この区間ごく少数の登山者が歩いて登っている。我々はかなりらくして時間短縮しているが、雪上車は一般的な登り方なのである。見上げると満点の星空、頻繁に流れ星が凄いスピードで落下する。標高4,700mのバツツーホフ岩の下で雪上車を下り、直ちに出発する。
アタックにスタート |
サドルへ |
クライミングガイド3人、個人ガイド1人、ツアーガイド1人、隊員7人で合計12人の隊列となる。途中隊列が乱れはじめて他の隊とも混じる。標高が上がるにつれ辛くなり他人を見ている余裕など無くなってくる。ガイドから遅いとの声がした。私たちの前は遅い他パーティだったのは暗いこともあって知らずに続いて登っていたのだ。東峰下のトラバースは、トレースは50センチぐらいで良く固まっていて歩き易い。この辺から手の指先の感覚が鈍くなってきたので予備の手袋に交換する。とりあえずサドルに着いた小休止する。ここでやっと登頂できそうだと思いはじめてきた。ガイドのビーバー氏が西を指さしたルエットが映し出されていた。5416mのサドルから急の雪壁はコンデイションは良く登りやすい。
サドル |
エルブルース峰のシルエット |
途中よりフイックスロープが雪面にパンパンと張られていた。すかさずビーバーガイドが現れ、カラビナをセットしくれたが非常に歩きにくい。フイックスロープ終わるころ突然視界が開けたプラトーに出た。山頂が見えた。近いのではと思うが距離感が掴めない。ここで初めて登頂をできると思うと心にぐっとくるものがあった。ツアーガイドの仙石氏に続く北村隊員(33)が10m先を行く、10歩登っては立ち止まる。離されないように続いて登頂する。ツアーガイド方々と登頂を抱擁してお祝いをする。
山頂 |
他の隊と入り混じり混雑していた。山頂には20人以上はいたようだ。記念写真を撮ったあと下山を開始する。途中より左の下降ルートに入る。安全上、上り下り。を別々にしてある。ここもフイックスロープがある。カラビナをセットする。難しい場所ではないが安心する。ロープ無しでスリップすれば数百メートルは落ちる。標高5,000メートル以上ではバランスは崩しやすい。危険個所をクリアしてサドルについたころは太陽もかなり高くなり、日差しも強く感じられるほどになっていた。後続隊を待つ間、日焼け止めを塗りなおすなどをして休憩する。約30分後、下降を開始する。長いトラバースを終えると大雪原の長い下降が始まる。途中より辛くなり300mぐらいの距離を尻セードでスノーモービル下り待機点まで下りた。一度は乗ってみたいスノーモービル。料金は乗客2名で1人1,000ルーブル(日本円3,000円)で乗ることにした。ザックを後部に括り付け凄いスピードであっという間にバレルス小屋に着いた。料金を倍に吹っかけてきたが、最初の料金で済ます。後部に乗った女性(松本さん)かなりびびっていた。ガイドと隊員1人以外は全員スノーモービルで下りた。その後、売店のベンチでビールを飲んで一時を楽しんだ。
<タイム>
バレルス小屋(3:25)バスツーコフ岩の下(4:00頃)サドル(8:30)
山頂(10:20) サドル(11:15)スノーモービル地点(2:00)バレルス小屋(4:05)
東峰下トラバース |
■8月12日(月)(晴れ)
今日は下山日、エルブルースの山容を眺めつつ隊員の集合写真を撮る。最後に食後お世話になったバレルス食堂のセガワエイコさんにありがとうの握手してお別れをする。リフトからフランス製の新しいキャビンで下りる。最新式で乗り降りは無人で自動開閉扉である。登りで乗った隣のロシア(旧ソ連)製と大違いである。バクサン谷の村を眺めつつ終点に着く。迎えの車でテレスコフのホテルに着く。荷物整理した後近くのレストランで昼食する。ビールとウオッカで乾杯する。日中は広場で売り場を見物する。夜はまたウオッカを痛飲し失敗もあった。
<タイム>
バレルス小屋(10:20)ロープウエイ終点(11:15)昼食(13:30)
■8月13日(火)(晴れ時々小雨)
ハイキングに車でリフトの駅まで行きリフト乗る。赤松や白樺の木が多い。足下には高山植物のお花畑が広がる。森林限界をすぎるとへばりつくような植物か生えているだけである。終点から眺めは素晴らしいが数歩ほど歩いたのみで再びリフトで下りる。終点近くで雨に降られたが濡れるほどではなかつた。下りたあと小雨の降る中釣り堀に行き昼食をする。昼食後は雨も上がりテレスコルのホテルまで徒歩でゆっくり帰る。夕食後に登頂証明書を頂く。
<タイム>
リフト駅(9:30)釣り堀り(1:40)
バレルス小屋サイドにて |
■8月14日(水)(晴れ)
登山活動が終わり、エージェントの女性とお別れしてテレスコルのホテルを後にする。一路ミン・ボディ空港へ。再び広い穀倉地帯を突っ走る。悪い路面でカーブもそれほどないが対向車に危険を感じる。対向車がライトを点灯して猛スピードで通り抜けて行く。大きなトラックを追い越すのには絶妙なタイミングを強いられる。途中の軍隊のチェックポイントに出会う。道路に装甲車を真横に止めてある。自動小銃を持った陸軍が数人24時間体制でチェクしている。前回きたときは車内をチエックしたが今回は何も無く徐行しただけで通り抜ける。ミン・ボディ空港から約2時間20分のフライトでモスクワ空港に到着する。空港前ではエージェントの女性が待ち受けていた。宿泊ホテルで一休みしてベンツの48人乗り大型バスで市内観光をする。クレムリン、大聖堂、競技場など見るものが多い。広い道路なのだが車があふれている。大きな建物は古典的で立派な建物が多い。
<タイム>
テレスコル(7:00)ミン・ボディ空港発(12:35)モスクワ空港(14:55)
ホテル(16:00頃)市内観光後ホテル(20:00)
■8月15日(木)(晴れ)
モスクワ市内観光、昨日と同じくベンツバスでホテルを出る。赤レンガの長い塀のクレムリン、イスラム風の丸い屋根の大聖堂内部はすばらしい。川沿いには観光船がゆっくり進む。重厚な外観のショツピングモールに中に入ると迷子になるほどとてつもなく広くい。買い物を少しですましてホテルへ戻る。夕方に帰国でホテルからバスでモスクワ空港へ向かう。市内は少し渋滞があったが問題なく空港に着く。お世話になったガイドさんとお別れして、予定の時間通り空港から飛び立つ。午前中無事に成田空港に着く。
<タイム>
ホテル(9:00)市内観光モスクワ空港発(20:00)成田空港着(10:30)成田エクスプレス(11:05発)自宅(14:30頃着)
教会 |
モスクワ川とクレムリンをバックにガイドさんと |
<概要>
カフカズ山脈はロシア共和国南部、黒海とカスピ海にはさまれた地域で、英語では、コーカサス山脈と呼ばれ、ヨーロッパではアジアとの境をなす大山脈と考えられている。東西1,500kmロシア、グルジア、アゼルバイジャンの国境をなしている。山脈中央は標高5,000メートルを越すピークが集中している。エルブルース峰は主脈からバクサン谷を挟んだ北側に独立峰として聳え、西峰(5,6427m)東峰(5,621m)の2つのピークから成っている。
カフカズ山脈:エルブルース峰の概念図 |
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