「アーカイブ」第2弾です。今回も後輩たちに登られていないルートを紹介します。
1999年の私は38歳で積雪期の山に行きたくてウズウズしていました。
この前の年は谷川岳の一ノ倉尾根に登っていたのでどこに行くかいろいろと考えていました。1984年1月の「クライミングジャーナル」No.9号に「スノーリッジ8選」のページがあり、そこで紹介されていたのが五竜岳北尾根でした。
谷川岳の一ノ沢、ニノ沢中間リッジが初級者~中級者に対しこのルートは中級者対象となっていました。終わってしまえば「そんなものかな!?」と思っていましたが登っている最中は必死だったと思います。遠見尾根から見える北尾根はなだらかに見えるのですが、取付いてみるとナイフリッジにキノコ雪がいくつも出てきてそれを突破するのに雪庇を踏み抜く覚悟で前進したのを思い出します。
キノコ雪を突破するときは福田さんに「自分が雪庇を踏み抜いたら反対側に飛び降りて」と言って登ったのを覚えています。岩壁登攀とは違う緊張感を楽しめました。
1999年3月13日 曇りのち晴れ
白馬五竜テレキャビン~地蔵平~小遠見~大遠見~シラタケ沢~北尾根取付き~北尾根末端稜線上【泊】
白馬五竜テレキャビンの終点駅である地蔵平で降り、遠見尾根を目指す。
ガスッて視界の利かない地蔵の頭で一休み!
ロープウェイから大遠見まで約4時間、大遠見ではガスが時々とれて北尾根の状況を確認する。大遠見から枝尾根をところどころ木を支点にロープを出してシラタケ沢に下降した。
北尾根末端はどこも傾斜がきつく一番すっきりしたところから取付く。
日が暮れそうなので急いで登る。
北尾根末端の稜線上でテントを張りこの日は終了する。
3月14日 快晴
北尾根末端~北尾根~縦走路2560m~五竜岳2814m~白岳~西遠見~遠見尾根~地蔵平~下山
傾斜のきついすっきりした稜線をロープを出して進む。
途中からロープを外し時間を稼ぐ。
途中から鹿島槍ヶ岳が見えるようになる。
北壁をバックにパチリ。
この先からいよいよ核心のナイフリッジ、信頼できる福田さんの確保で次々と現れるナイフリッジ上のキノコ雪を切り崩しながら進む。余裕がなく、核心部の写真がないのが残念!
※1/25000図上の2119mピークから先は尾根がぐっと緩くなりナイフエッジとなる。途中から傾斜が増し尾根幅も広くなる。右側から尾根が合流しナイフエッジと雪壁を超え雪のピークにでて、ここから先は膝上のラッセルで国境稜線でる。
鹿島槍ヶ岳北壁
このルートも雪稜技術の総合力が必要で充実感のある良いルートだった。
あと一つ覚えているのは五竜岳頂上直下が意外と悪かった。
チャンスがあればぜひ挑戦して下さい。