幕営地より白馬岳を望む
ゴールデンウィーク前に、体力トレーニングを兼ねて白馬主稜に行こう!
ってわけで、ルンルン山行 in 白馬主稜 始まります。
日付 2016/4/16(土)〜17(日) 天候 初日:快晴、二日目:酷いのち晴れ
参加 宮崎(CL)、穴井、山口(投稿)
アルバム :
https://picasaweb.google.com/110771324764284100517/201641617
一日目:4/17(土)
5:45 二俣駐車場出発
GW前名物の1時間半の林道歩き。
途中で休憩を入れ、ぴったし1時間半で猿倉山荘に到着。
猿倉山荘裏手にあるショートカットコースを使い白馬尻を目指す。
白馬尻に幕営する案もあったが、二日目の天気がイマイチよくないので初日に行けるところまで行くスタイル。
9:30 白馬尻
白馬尻にはテントが一張り。あと同じく白馬主稜を目指している4人組の1パーティも休憩中。
まだアイゼン、ピッケルは必要ないだろうということで装備はそのままで進む。
8峰が意外と遠い。
8峰取り付き上部が少し急だったので、宮崎さんと私は途中でピッケルを装備。
それにしてもすんごい陽気。THE 春山。すっごい暑いのでTシャツ1枚でいいし、タオルも欲しいし、タイツだって脱ぎたいくらいです。。
そんな陽気じゃ雪も腐るわけで、私が最後尾でトラバース気味に進んでると、グズグズに腐った雪が足元から崩れてそのまま10〜20m落ちてしまった。がなんとか雪がせり出しているところ手前で止まる。
「一番下まで落っこちていくかと思いました。」って言われて、仮にそうなってたら何も言わず一人下山してたわ。
トレースがあっても、足場は固めて進まなければ。
残雪期登山の洗礼を初っ端から喰らい、この日一日はメンタルがやられた。
雪が融雪され、大地がむき出しになっている所を左から回り込んで乗り上げる。が、土がドロドロヌメヌメでだいぶ悪い。テント装備でここを突破は難儀する。お、お助け紐!
だんだんそれらしくなってきた
ナイフリッジ。右は切れ落ちているけど木がしっかり生えているので掴めば大丈夫だよ、と宮崎さん。左下から巻けそうだったがこっち(右)の方がいいんじゃないと言われる。
が、どんどん気温があがっていき更に腐りゆく雪と、朝の落ちた恐怖から私の足が止まる。
皆に先に行ってもらい、上から引っ張り上げてもらった。
この後に岩登り要素も登場。飽きさせません、白馬主稜。
浮石多数なので要注意。
その後も腐った雪の下からシュルントが見えたり、結局それ踏み抜いたり本当に飽きさせません。。
15:10 5峰幕営地
4峰あたりを目指していたが、時間も時間なので、5峰の最後の登りを終えたところで本日の行程終了。
歩いてきた道程と、目の前には杓子岳が見えるグッドロケーション。
4峰へ偵察中
全く寒くないので雪景色に囲まれながらテントの外でしばらく景色を堪能。残雪期の登山は初めてだけど、天気の良さもあって厳冬期とはまた違った充実した時間を過ごすことができる。乙だね〜。
カヌー部の話に爆笑しつつ、20:30就寝。
***
二日目:4/18(日)
3:00起床
目覚めるとアラレがテントを打ち付けていた。長野県2000m付近では21mの強風注意報が出ているようで今日の行程に不安が生じる。
5:30 5峰出発
朝晩の冷え込みで腐った雪から一変してしっかり締まった雪質に。4峰へのナイフリッジ越えも、その雪質と先行パーティのトレースで昨日ほどの恐怖感はなく越えられた。
4峰を越えたあたりから天候が荒れ始める。
顔面へのアラレの集中砲火を耐えつつ、3峰への急峻な雪壁登りを繰り返す。幸か不幸か、ガスっていて周りの様子が全く見えず、雪庇、高度感共に不明。
3峰から2峰へ
大きな岩がむき出しているところ。右へ行けば雪壁登り、左は岩場から。トポによると右の雪壁のほうが易しく、一般的とのこと。
しかし先行パーティのトレースは左へと続いていたので私たちもそれに続くことに。
ここで初めてロープを出す。リード穴井で、タイブロックで山口、末端宮崎。
登った感想としては、左、カラいです。帰りの車で”どこが白馬主稜の核心だったか”という話では、穴井くんと私はこのピッチだった。
序盤早々、雪が薄くバイルが決まりにくいのと、支点を取るために草付きを乗り越えて右にトラバースするところがジョロキアポイント。
私は序盤から静止画の如く動けなくなってしまい、あまりの動きのなさに登ってないと思われて、上からは「登ってきてください」×5(一応登ってます)、下からは「ロープ掴んでいいから頑張って!」の声に挟まれて、吉兆の女将ばりに頭が真っ白。
チラッとロープを見ると、タイブロックもやる気なくしてんのか普通に下にスーッと落ちてく始末で更に慌てた。タイブロックってこういう動きするのね。
その後もステップのないルートを取ってしまい、ピーピー泣きながらキックステップをし、取り乱しながら上へ。情けない。
そこからしばらくはコンテで進む。
2峰には大型テントが張れる安定した平坦地あり。先行パーティはおそらくここに幕営してた様子。
二日目の雪壁登りでの渋滞や、朝の安定した気温の中大雪渓を下降することを考慮すると、体力次第だけど初日にここまで来るのが望ましいか。(現に今朝、天候が荒れる前の5:00過ぎ頃、私たちがテント撤収している時に先行パーティはすでに1峰に取り付いていた。)
私たちは悪天候真っ只中に核心越えすることになり、ウェアから身につけているギアの何から何まで全てが凍りついていた。ピッケルツルツルで上手く振れない。
白馬主稜1峰取り付き
ビレイポイント
壁に残置ハーケンあり。錆びているが固定されていたのでそれにセルフをとる。
リード穴井で、あとは順番を変えてセカンド宮崎、末端山口。
最終ピッチは傾斜60〜70度、55mの垂直の雪壁とのことだが、今回痛恨のスノーバー不携帯というミスを犯したのでどう対処をするか前日から相談していた。
トポによると55m2ピッチと書いてあったので途中でなんとか1回切って…とのことだったが、あれ?ロープがスルスル消えていく。残りロープ無し。「もうロープがないよ!」と 叫んだら上から聞こえてきたのは
「あと3メートル!」
宮崎さんの白馬主稜 核心の瞬間である。
「山口さん、セルフ外してなんとか上行ってロープ出して!いい!?絶対に落ちないでね!!!!(核心中)」
震えたけど、同じ頃、上では雪庇越え間近で「ロープもうないよ」って下から聞こえてきてんだからそりゃもう本当に不憫です。
おそらくロープ3m待ち中の写真の数々
覚悟を決めて、私が決死の50cm横移動を繰り出したら奇跡的にロープ3m伸びてくれまして、穴井くん、無事に雪庇を突破する。
すぐさま宮崎さんがタイブロックをセットして55m雪壁を登っていく。
本来雪が通常通りついていれば途中でピッチを切ることが出来るようだが、雪も少なけりゃスノーバーもないのでハーケン打ってるところから1ピッチで抜ける羽目に。
この雪のコンディションでフリーで抜けるのは危険のためトップの力量に頼るほかなかった。前日に会員から、雪の少ない白馬主稜は最後の3ピッチが結構きついよ、と連絡があったけど本当にその通り。
これからGWに向けて融雪は進むと思うが白馬主稜どうなっているのだろう。
とにかくスノーバーは必須装備。
ただ雪の締まってる早い時間に抜けないとそのスノーバーも効かないっていう。
街中でも強い風が吹き荒れ、工事現場の足場が建物からぶっ飛ばされていたように、ここ白馬主稜でも皆それぞれ何回か地面からぶっ飛ばされていた。
特に私が時間をかけて登った1峰頂上は爆風吹き荒れていたようで、ビレイ中かなり危険な状態だったみたい。
なので雪庇から笑顔でヒョッコリ顔を覗かせてる白馬あるある写真は今回はございません。
代わりと言っちゃなんですが、朝食のフォーの写真でも。
10:30 白馬岳頂上
時折吹く突風に注意を払いつつ、山頂で記念撮影をして下山のため大雪渓を目指す。
大雪渓へは、小屋の間を通って。
大雪渓下降
ガスっていて斜度がよくわからずしばらくはシリセード封印。
予報通り昼過ぎから天候回復。大雪渓、こんなに気持ちのいいところだったんだ。
斜度が落ち着いてきたのと、天候が回復してきて見晴らしがよくなったところでシリセードご解禁。
シリセードできなくなってからは、テンションガタ落ちで腐った雪を踏み抜きながらながーーーーい猿倉までの道のりを、そして林道を進み、14:40頃、二俣駐車場に到着。
みみずくの湯で汗を流し、宮崎さんオススメの(どこか忘れた)SAで胃袋にガソリンチャージして、ルンルン山行(とはかけ離れた内容となった)in 白馬主稜 は無事幕を閉じた。
***
GW前のプレ山行でしたが、GW合宿や残雪期登山に必要なことや装備が色々と分かり、全員収穫のある山行となりました。
私(山口)にとっては間違いなく今までで一番心身ともにキツい山行でしたが、終始フォローというか介護をしてくれた2人のおかげで白馬頂上を踏んで、無事帰ってくることが出来て本当に感謝しています。
二日間、要介護5だった人間が言うのもなんですが白馬主稜楽しかったです。ただ、今度はぜひ雪のコンディションの良い日に :D