2018/8/14 森吉山 ノロ川桃洞沢〜赤水沢下降

日付 2018/8/14(火) 天候 晴れ 参加:宮崎(CL)、塚越、中村、山口(投稿)




東北の沢第2弾として森吉山 阿仁川水系 ノロ川桃洞(とうど)沢から赤水沢を下降してきた。
どこまでも延々と続くナメに、両岸がスラブで形成されている桃洞沢はどこか女性的な印象を受けた沢だった。


<行程>
9:00 野生鳥獣保護センター 〜10:00 桃洞滝 〜12:00 赤水沢下降 〜12:55 兎滝〜14:20 桃洞沢・赤水沢分岐 14:45 〜 15:20 野生鳥獣保護センター



野生鳥獣保護センターより遊歩道を約40分間歩き入渓地点へ。

7、9月は静かなトレッキングを楽しめるそうだが、この時期はとにかくヤブ蚊が凄まじいので厚めのウェアで肌の露出を極力抑えた上で、吊り下げ式の蚊取り線香はマストアイテムだろう。トレッキングを楽しむとか悠長な事は言っていられない、基本競歩でなんならランだ。

そうとも知らない私たちは見事にヤブ蚊の猛攻撃にあい、必死の抵抗の虫除けスプレーも虚しく人間ドリンクバーと化す。
ヤブ蚊から逃げるために早めに入渓する案も出たが、沼のような沢が続いていたので予定通りの場所まで涙目でマオリ族のハカよろしくな動きでヤブ蚊と闘い続けた。

安全地帯
沢に入るとヤブ蚊は消え、代わりにアブが登場してきたが歩いていれば気にならないのでやっと一同一安心。イライラが募っていたみんなの顔にも笑顔が戻ってきた。

入渓点から5分ほど歩くとすぐに桃洞滝が現れる。



これは見事な・・・。


4Kとか大画面テレビとかVRとか、各業界頑張っているけれど多分このインパクトには敵わないでしょう。

ガイド本には”自然の造形美”って書かれているけど、自然のイタズラっぷりが酷い。
作:村上隆 とかのがよっぽど信憑性がある。

というかこの滝は沢のフィナーレにもってこなくて大丈夫なのだろうか。今のところブログとしても沢としても出オチ120%。

この滝の前で物思いに耽っていたお兄さんに写真を頼んだ

くノ一忍法帖というVシネの中で繰り出される数々の恐ろしい忍法の一つに、【里帰り】ってのがあるんですが、こんな感じです。


桃洞沢、そして赤水沢はほぼ全ての滝やヘツリにこのようなステップが刻まれているのが特徴だ。
ステップを刻んでまで連れて来たい人がいたのかは分からないが、懸垂支点も豊富なため初心者も無理なく楽しめる沢になっている。


正面突破はかなりの浪漫だろうが、左の太ももあたりから恥骨くらいまでステップが切ってあるのでそちらから問題なく越えられる。

桃洞滝に関してはまだまだ筆が止まらないがグッとこらえてここいらあたりで次にいきましょう。


正直次にいったところで延々こんな感じのナメが続く沢なので盛り上げが難しいが頑張ろう。後々出てくる兎滝ってのが核心らしいぞ。

でも明るく開放的な沢なのでとても気持ちがいいのは事実。


この日は曇り予報だったが最後まで青空が広がっていてくれたので、今回の東北の沢遠征は4日間全て天気に恵まれた形となり感謝しかない。

珍しく泳ぐ

所々湧き水によって声が裏返るくらい冷たい水のところもあったが、基本的にはぬるま湯なので楽しく泳げる。
しかし予想に反して全体的に剛毛苔むしている沢だったのもあり、前日までの葛根田川に比べると気持ちのいい泳ぎは出来なかった。


あっという間に桃洞沢最後の10m滝。
右側に残置ロープありステップありフリクションばち効きなのでフリースタイルでどうぞ。


その後もひたすらペタペタとナメまくると土砂崩れにより沢がせき止められダム化した箇所が出てきた。
流れのない瀞はやはり少し気味が悪い。


GPSを確認しながら分岐を間違えないように遡行する。
分岐には赤テープもあったので余裕こいてたらトポ上にはない4つ目の分岐が出てきた。
塚越さん曰くこれが最後の850m地点の分岐じゃないかということで左俣へ進み見事正解。(GPSは全員バラバラの標高を示していた。)
インゼルだと思い適当に右俣へ突っ込んでいった私は少し凹んだ。
しかもついでに言うとロープ担当だったのに持って来るのを忘れていたのもあってさらに凹んだ。

左俣へ行くとすぐに残置ロープが見えてくる

あとは踏み跡を辿り赤水沢に突入、そして下降へ。


少し傾斜のあるようなナメには全てボルトが打ってあり懸垂ができるようになっているのでメンバーによってはロープを出そう。

赤水沢でもステップは健在

フリクションはよく効くので兎滝まではノーロープでも問題なく行けるだろう。

兎滝からの眺め


赤水沢最後の滝、兎滝40m。
30mロープ2本だったら1回で降りられたが私が忘れたので懸垂2回で。2回目の支点もしっかりしたボルトが打ってあったので一安心。


なんで兎滝っていうのだろうと思ってマジマジと見ていたら、左を向いて中腰で頑張っている兎の姿に見えてきた。スクーターに乗っているようにも見える。

兎滝を越えたら後は桃洞沢・赤水沢分岐まで1時間半のナメ歩き。


ペタペタペタ。


ペタペタペタペタペタペタ。


ナメ天国の名に相応しい素晴らしいナメが延々と続き、分岐に着く頃にはしっかり「長い」や「飽きた」の文句もそれなりに出るくらいナメを堪能できる贅沢な沢です。

沢界きってのクライマー

分岐で休憩をはさみ、ドリンクバーにならないように全員出来る限りの重装備を行い、鳥獣保護センターまでのヤブ蚊戦に備える。

しかししざ突っ込んでみると15時近くの登山道はヤブ蚊がほとんどおらず、全員ドリンクバーにならずに駐車場まで帰ることが出来た。不戦勝って感じだが勝利感ハンパない。ハカも舞わずに済みました。


帰りは鹿角市にある五の宮のゆで汗を流す。アルカリ性単純温泉なのでヌルヌルスベスベのお肌に。「泡切れが悪い」と言って延々湯で流さないように。


秋田の美味いもんを食おうと奔走するも田舎の店は閉まり始めていたので早々に諦めAコープで惣菜を買い漁りそのままイートインで打ち上げ。
食ったのはキリタンポでもハタハタでもねぇ、半額の本マグロだ。


***


関東からわざわざこの沢だけを遡行しに来ることはまずないだろうから、今回の東北の沢遠征でついでに来ることが出来て非常に良かった。日本中こういうオモシロ沢がたくさんあるんだろうな。遠征先での”ちょっとついでに”という寄り道沢を探して行くのも悪くない。

沢旅4日間はもちろん、片道余裕の10時間越えという長距離運転本当にお疲れ様でした、そしてありがとうございました。


最後はもちろんこの沢を代表するあの滝で締めたいと思います。





ウサギちゃん^^

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