2016.12.29-30 三峰川 岳沢アイスクライミング

日付 2016/12/29(水)-30(木)  天候 曇り-晴れ  参加 穴井(CL・投稿)、相原、早川

行程:
12/29 桃の木集落ゲート(5:45)-丸山谷出合(6:45)-北沢・南沢出合(7:15)-営林署跡(9:00)-岳沢越え(11:00)-岳沢出合(12:00)-F1(13:00)-F3(14:15)-F4(16:30)-F5上BP(17:15)

12/30 F5上BP(6:45)-F8(7:30)-F9(9:20)-F11分岐(10:00)-大仙丈ケ岳西尾根稜線(10:50)-大仙丈ケ岳頂上(11:15)-仙丈ケ岳頂上(11:45)-小仙丈ケ岳頂上(12:10)-北沢峠(13:40)-戸台駐車場(16:30)

岳沢F8「ソーメン流しの滝」1P目

2016年の年末山行はアルパインアイスとして、三峰川 岳沢へ行ってきました。
私といえば今シーズンは11月末から毎週八ヶ岳に通ったが、氷結が甘い日が続き満足な練習ができず。時間の合わない他2名の参加メンバーにも今回の山行へ向け練習を重ねてもらったが、CL含め入会2年ほどの経験の浅いメンバーでの計画となってしまい、期待と不安が入り交じるなかでの山行当日を迎えることとなった。

12/29 
朝3:00に道の駅長谷に集合。戸台に車をデポし、もう一台で丸山谷へと向かう。事前の情報通り、最後の集落のすぐ先でゲート行き止まりとなっており、丸山谷までは1時間強の林道歩きの模様。寒さに身を震わせながらそそくさと準備を済ませるが、若干1名は下着を忘れた(寝るときは履かないらしい)とかで、何だかんだあり6時前に出発。地元の猟師がゲートの鍵を開け奥に車を走らせるのを見送る。
1時間の林道歩きで丸山谷出合へ入り、さらに30分ほど進むと北沢と南沢の出合にあたる。発電所のゲートがあり、一息入れた。ここからは丸山と小瀬戸山の最低コルである岳沢越えを目指して南沢を詰めていく。地図よりは林道が伸びていたが1409m地点までに渡渉が3回ほどあった。水量があり、浸水を気にしつつ、くるぶしまで浸しながら進む。
1409m地点で左から出合う沢に入り、営林署跡を目指す。事前情報では例年氷結しているはずの滝10m×2段?も全く氷結しておらず、悪い巻きを交えて進む。この辺りから岳沢越えまでは殆ど沢登りの様相となった。
営林署跡は立派な小屋であったが、中は鼠の糞だらけ。
小屋のすぐ先で沢に降りると3つの沢が入る場所があるが、赤布が垂れた真ん中の沢を詰めることにした。足元には数日前に入ったらしい2人組のトレースがうっすら残っていた。
真ん中の沢に入ってからは岳沢越えの最低コルまでひたすら高度を上げていく。要所には赤布が垂れており、迷うことはないだろう。
1800m地点の滝も凍結しておらず巻き、最後はザレ場を登って赤布を頼りにコルに上がる。コルからは樹林の先に岳沢を望むことができる。短い感覚の中にいくつもの氷瀑をかけておりルンゼ状となっている。
30分ほどで三峰川本流まで降りる。下流に少し歩けば岳沢が左から出合う。この辺りは平坦でどこでも張れそうな感じであった。
岳沢出合からはF1まで一時間ほどの歩き。数日前の雨のおかげでラッセルも殆どなく快適に進めた。遥か上にはF8ソーメン流しの滝が氷瀑を懸けているのを確認できた。
F1は全く氷結しておらず、ルートを見定めて左岸の巻きに入る。ここでハーネスとアイゼンを装着した。うっすらと付いたトレースも同じく左岸を巻いているようであった。
F1は落ち口までジャージャー流れていた。
ロープを出さずに巻きに入るが上部はⅢ級ほどの岩登りとなり悪かった。木登りも交えつつ落ち口よりもかなり上まで追いやられた。
幸い、懸垂無しで沢に戻り、ゴルジュ状を少し登ると右からF2とすぐ先にF3を確認できた。F2はフリーで上がる。
F3幅広滝 60m  中々のスケールに圧倒される。時間はまだ13:00を過ぎたところで予定よりだいぶ早いため、小休止を入れて誰がリードするか話し合う。初日はロープの出さないF1までしか届かないだろうと踏んでいたため、酒とつまみがズッシリと重い。ロープを出すのはF3、F4とF8のはずなので、とにかく1人1回ずつリードしようということなった。
何だかんだあり、穴井リード。荷揚げはせず全装で登ることにした。左はグサグサで右はカチカチの青氷、真ん中右寄りに狙いを定めて取り付く。下部のバーティカル部が硬くバイルが弾かれ厳しかったが、アックステンションを取りつつ何とか突破。
上部は緩傾斜となっており40mほど伸ばしたところで左岸の灌木で支点をとりフォローを迎える。ビレイ点からはもう1ピッチ伸ばしたところでF4に取り付くことができた。

F4 30m  日が良く当たり、氷の状態は良い。
早川リード。落ち口でスクリューを打つのに苦労したようだが、順調に抜ける。16:00を回り日が傾く中、F5上のBPを目指して急ぐ。相原がフォローで続き、最後に穴井が取りついたときには日が落ち始めていた。
F4抜け口からF5までの狭いゴルジュはデブリで圧雪されていた。
F4のすぐ先で左に屈曲するとF5のナメが30mほど続く、氷結していなかったため、脇をへつるように登った。
F5の上は左から沢が合流し、正面の岩壁を割るように垂れたF6を見渡せる広場になっている。日も落ちてしまい、谷を吹き抜ける風が冷たい。積雪があれば雪崩に考慮しテントを張る位置を考えたほうが良さそうだが、雪も安定しており、前のパーティーが残したであろう圧雪されたテン場をそのまま利用させてもらった。
念を入れた軽量化に加え、雪の状態にも助けられ初日にF5まで稼げたため、夜は派手に乾杯。2泊の計画を繰り上げ、1泊で抜けて下山しようと3人で決めて眠りについた。空には満点の星空広がり、遠くには街の光を見渡せた。


12/30
朝4:00に起床。ガスの準備をすると相原、早川が靴を乾かし始めた。どうやら前日の沢登りで浸水していたようだった。乾かし終えカップ麺で朝食を済ませるが、時間は既に6:30を回り、外が明るくなる。急いでテントを畳むが風がかなり強く、先が思いやられながら、目の前のF6に取りついた。
F6とF7は傾斜部がそれぞれ20~25mほど。フリーで越え、先を急ぐ。
30分ほどでF8ソーメン流し100mの基部に着く。傾斜の緩い1P目はフリーで上がり、中間部の氷柱の脇で支点を構築した。
2P目は前日からの順番で相原リード。巧く弱点をついてロープを伸ばしていくが、姿が見えなくなると途端にロープが出なくなった。
待てども出ないロープを見つめながら足踏みしつつ待機。寒波で冷え込んだ上に日の当たらないF8は吹き下ろしが強烈に寒く、久々に凍傷の2文字が頭をよぎる。
暫くして無線機が鳴る。どうやらチリ雪崩が凄く動けないらしい。漸くロープが伸び始めるとほどなくしてビレイ解除のコール。穴井、早川がフォローで上がった。
F8抜け口を上から見下ろす。1時間半ほどで抜けた。
F8を抜けると登攀は実質終了となる。ロープを纏め、少々のラッセルを交えつつF9、F10をフリーで越えていく。
雪に埋もれたF11手前からは左の沢に入り、大仙丈岳から西に落ちる尾根上を目指して這い上がる。
先日の雨で表面はパックされており、踏み抜かなければ至極快適だった。ルンゼ状を500mほど一気に駆け上がる。

西尾根に這い上がると稜線上は強風が吹き荒れていたが、ガシガシ登れるのでさっきまでビレイ点で凍えていたのに比べれば快適そのもの。主稜線の大仙丈ケ岳を目指してスピードを上げる。

11:15 大仙丈ケ岳のピークに出て互いに握手を交わす。相変わらず風が強いが快晴で展望もバッチリ利くなか小休止。計画段階では不安もあったが、足並みの揃ったメンバーと天候にも助けられ、無事に抜けることができ良かった。

仙丈ケ岳を踏み、北沢峠までの下りは年越し登山者のトレースがしっかり。時折、耐風姿勢を強いられる場面もあったが、問題なし。
長い長い戸台の河原歩きもすっ飛ばしして黙々と歩く。
16:30 戸台駐車場着 何とかヘッデンも出さず済んだ。
余った1日はもちろん打ち上げに使わせてもらう、丸山谷のゲートで車を回収したら風呂を済ませて伊那の町に駆け下る。安宿に荷物を置き、夜のお店に目移りする若干1名を引きずり、居酒屋へ。
美味しいブリしゃぶで山行の締めとした。
2016年最後の山行も最高の形で終えることができました。2017年も充実した山行を重ねて行きましょう。



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