10月14日(金)7:00 上高地出発
おっちゃんは、中央アルプスの縦走から戻り4日、お嬢は丹沢主脈縦走(高低差2000m、距離20kmを9時間で
走破)から3日目で互いに筋肉痛を抱え、意外と重くなった荷物(1拍2日)を背負い、聳え立つ明神岳
まで行けるか少々不安な気持ちの中、早朝の冷え込んだ上高地を出発する。
※行程中は採水が出来ないので、上高地より小生5L+α、お嬢4Lの水を担ぎ揚げた。
夏の最盛期が終わり閑散とした河童橋を渡り、梓川右岸を行く。
明神池と岳沢が別れる分岐を岳沢方面の折れ、ゆっくりと登山道を歩く。
途中、岳沢から下山中の登山者と出合い、今朝の冷え込みは今年一番であったと伺う。岳沢までの道標No.7(8:00頃 標高1700m)の地点表示部より、右側の急勾配の支尾根に取り付く。
太い倒木が多くあり、乗り越えるのに苦労する。木の根に掴まりながら急勾配を登る。
何処まで登っても、勾配が緩くなる事は無く岩稜部には老朽化したFixが張ってあった。
やっとの事で、明神主稜線(2300m)に抜け出る事が出来き、座って休憩が可能となったが
見通しが良くなったせいか、冷たい北風が吹き休んでいると体が冷えた。少し先には大きなⅤ峰が見え、これからあの峰を越える事を考えると、うんざりする。
※参考にしたトポにはV峰手前の台地で幕営したとの記載があったが、急登を越えてみて
初めて気持ちが解った。
天気が良くなる傾向である事は解っているが、とにかく風が冷たく、鼻水が止まらない。
やっとの事でⅤ峰手前の台地に到着(12:00頃)
目の前にV峰があり、奥穂から西穂高までの稜線が目の前に見え、平で且つ、北風を避けられる様な窪地があり、幕営地には最適な場所と思われた。
目の前のV峰の大きさと夜通しで車を走らせて睡眠不足とここまでの重荷を背負っての急登の登りが堪えた
ので、今日はこの台地で幕営しない?弱気なおっちゃんがネガティブな提案をしたが、お嬢はあっさりと
却下。。。。
まだ時間も早いし、この先、もっと良い適地があるかも知れないので、V峰は越えましょう~と・・・
登るにつれて、青空が広がり、日差しも暖かくなり、焼岳、霞沢岳方面の山並みが綺麗に望めた。
30~40分位でピッケルの刺さったⅤ峰の頂上に到着。(思った程の登りではなかった)
V峰周辺にもビバークしたであろう整地された場所が幾つか確認できたが、日もまだ高いし、先も長い様な
のでⅣ峰の登りかかる。
賽の河原の様な砕石が積みあがった様な踏み後が続き、落石と一緒に転がらないように気をつけてⅣ峰を
目指す。
Ⅳ峰の頂上に到着、暫らく休憩後、Ⅲ峰方面に幕営適地が無いか偵察に行く。
Ⅲ峰は岩峰には登らず岳沢側の基部巻くルートとなっている為、色々な場所をアップダウンして探すが
平坦な場所が見つからなかった為、Ⅳ峰頂上を少し過ぎた風を避ける事が出来る岩陰に幕営すること
した。(15:30過ぎ)
※翌日Ⅲ峰方面に向ったが、Ⅳ峰から前穂高岳までの区間で幕営に適した場所は見つからなかった。
幕営地が決まり、テントを建て宴会を開始。ツマミでお腹が膨れてしまい夕ご飯を食べるのが大変で
あったが翌日の行動の事もあるので、“ドライカレー+フリーズドライカレー”掛けて食べる。
お腹が膨れると、疲れによる眠気が出てきて、日が沈む前だったがホッカロンを背中に張りシュラフに
入り就寝。
夜中に一旦、目覚めたが意外に寒さを感じることは無かった。しかし、テントの内側には霜が付着して
おり、外気温が氷点下となっていることが解った。夜空には大きな月が出ており、ヘッドライトが不要な
くらい明るい状態だった。
日が出て温くなってから行動開始する為、5:00起床。
朝食をとり、荷物をまとめ、7:00出発。
食料、アルコール、水が無くなり、思いの他ザックが軽くなり、二人して驚いた。
2人で相談して踏み後を見極めながら、Ⅲ峰の基部を巻く。
Ⅲ-Ⅱ峰のコルを通過して大きな岩を越えながらⅡ峰の頂上に到着。
頂上の前穂側の岩に懸垂用のシュリンゲが何重にも掛かっており
ここから2P(20m×2回)の懸垂となる。お嬢は今回で2回目の懸垂となり、懸垂前に安全確認を見届けるパートナー
も居ない為、注意すべき事項を“しつこい”位に伝えて、下降に入る。
懸垂を終え、降り立ったⅡ-Ⅰ峰のコルは狭く、地盤が不安定で且つ、左右からの落石が
集中する様な場所であった。
(2年前の5月、明神東稜登攀後のコルのイメージとは異なっていた)
お嬢の懸垂下降を心配していたが、思いの他、安定して下降してきた。
さっさとロープ、ハーネスを仕舞い、ガレたⅠ峰を登り、あっさりと明神岳主峰に到着。(9:30頃)
通過してきた明神岳の主稜線が遠くに望まれ、ずいぶん遠くから来たね~と言葉を交わす。
目の前には大きな前穂高岳が控え、紀美子平から登っている登山者の姿たが遠望できる。
ここからは、安定した踏み後を期待したが、結構悪い箇所もあり、また、踏み跡が不明確な箇所も
あった為、二人でキョロキョロしながら進む。
前穂-Ⅰ峰のコルに降りる前に、懸垂下降箇所があり一旦仕舞った登攀具を着用する。
Ⅱ峰の懸垂下降より岩場の状況が悪く慎重に下降した。
コルからは幾つかの岩峰を越え、11:30頃に前穂高岳山頂に到着。
頂上には紀美子平からの空身の登山者が多数おり、風景写真撮影をしていた。雲ひとつない青らが広がり、富士山、八ヶ岳、白山、木曽御嶽山、中央アルプス等々の本州の主要な山並
みが遠望できた。
頂上から一般登山者を避けながら、岳沢小屋まで一気に下り(結構長かった~)2:00頃到着
岳沢から約1時間で梓川遊歩道に到着すると、大きなカメラを持った観光客が多数おり、日本を代表する
一大観光地であることを改めて認識した。
お嬢にとっては初めての上高地であったので、荷物を置いて
“アイスクリームでも食べながら上高地の散策でもどお~”とおっちゃんが提案したが、瞬時に却下。
おっちゃんの思いがガラガラと崩れた~
沢渡行きのシャトルバス乗り場が長蛇の列となっており、観光客の多さに驚く。
沢渡駐車場で車に乗り換え、悪夢の白骨温泉に浸かり、十字路にてカロリーオーバーの洋食をとり、
帰宅となった。
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