奥多摩・小川谷 滝上谷(沢登り)


「秘境」とは
人の訪れたことのない、まだ一般によく知られていない地域。
〜大辞林抜粋〜


日時:2015.6.6(土)
参加メンバー:塚越(CL)、大手、穴井、山口E(投稿)


6月第1週末に奥多摩にて遭難対策訓練を行うことになり、初日の6日は天気の関係で沢登りとなった。
参加人数も多かったため全3チームに分け奥多摩の秘境を突き進む。


9:30 滝上谷橋




落石を防ぐ工事を8月6日まで行うとのことで日中(8:00~18:00)は登山道が立ち入り禁止になっており、巻いて巻いての巻道へ。
20〜30分くらいの悪路を通り、林道へ出たら1時間歩いて2つ目の橋が滝上谷の入渓地。


入渓地・滝上谷橋


林道歩きでほてった身体を沢の水で冷やす。
ここはブヨが多く、ブヨ対策が必要と書かれていたがまさにその通りで塚越さんが被害に合いまくる。南無。

20分くらい歩いていると、先頭の穴井くんがイワナの気を瞬時に感知したようで釣竿を用意しだす。
お腹をすかせて帰ってくるであろう今夜の泊まりメンバーの晩御飯のため、釣りキチ三平と化した穴井くんがイワナゲットに挑んだ。

が、結果はイワナの勝ち。大声出したからイワナが隠れちゃったらしい。
怖くて確かめられなかったけどその大声の主は私だったかも。すみません。


10:00 大小屋ノ滝

イワナポイントを抜けるとすぐに小滝の連続。




そして出ましたよ、6mの大小屋ノ滝(下段)。
右壁に残置ハーケンがあるのでそれに沿って特攻隊長の穴井くんがリードでズバリと決める。




ゲームに毒されすぎたのか、序盤だしそんなに難しいことはないだろう、とタイブロックをセットし私も大小屋ノ滝に取り付いてみたら、この子、とんだ荒くれ者でした。
ゲーム序盤でバラモス(ドラクエ)的な展開が自然界には当たり前にあるのですね。


結局私は離陸できず、Mr.チェックメイトこと大手さんにバトンタッチ。
その名の通り、この滝にチェックメイトを決めることができるか?




が、しかし、逆に滝からチェックメイトくらって無念の降板。詰みです。

私たち2人は左側にある岩場から巻くことになったが、右岸のルートにヌンチャクをセットしてるので、先週の和名倉沢でアバラを痛めてる塚越さんがヌンチャク回収に行くことに。
アバラ痛めてる人にヌンチャク回収させてる状況にこちらも胸がちと痛い。


通算5〜6回目のアバラにヒビの人


塚越さんがそのまま上に回り、ロープ出してくれて左から巻くがここも悪かった。運動音痴の私にとって”良い”なんて状況はまぁ、そうそうないんですが。

序盤からとんでもない時間をかけてしまった・・と、下からの大手さんの助けもあってなんとか上に辿りつくと、1時間以上前に先に登っていた穴井くんが、万歩計つけてたらカンストしてるんじゃないかってくらいブルブルと寒さで震えてた。
すまぬ・・。


下段を越えたらもちろんあるのが上段。


上段4m


上段は頭からドバドバと水をくらう、もろにシャワークライミング。

去年、ALSの方に寄付を行う運動として氷水をかぶるアイスバケツチャレンジが広がりましたが、当時は氷水を頭からかぶる過酷さがイマイチわかりませんでした。が、今なら分かる、これ(以上)か、と。
あまりの冷たさに呼吸も止まって、寄付とかちょっと後でもいいですか。
上部がヌメっていたので途中、塚越さんにロープ出してもらって上へ。

上の特等席から、つづく大手さんのアイスバケツチャレンジ(仮)をじっくり観賞する。
大手さん、「はっ、はっ、ぁは〜〜はーーっっ↑↑↑(裏声)」みたいな声をだす。爆笑。


11:30 ワサビ田跡




序盤でかなり時間を使ってしまったので先を急ぐと現れたのがワサビ田跡に広がる大規模な土砂崩れ。
滝上谷になにが起きたのか、いや、何がいるのか。ゴジラ?




延々と続く倒木地帯、底抜け連発の違法建築。
沢登りなのに水のない倒木地帯をひたすらに進む。

穴井くん・・イワナ、もういないんじゃない?




詰めでもない沢登り途中でひたすら藪漕ぎするはめに。
塚越さんが、「人があまり入らない沢にはそれなりの理由があるんだ。」と言った。
遡行図にも奥多摩の秘境とか書かれてる滝上谷ですが、倒木フェチの方はぜひ。


ひとまず倒木地帯を抜けると(←この後何回も出現する)、現れる滝。
塚越さんがお助け紐を上から垂らしてくれるが案の定私が全然登れない。
そうしたら、大手さんと穴井くんが、どうぞ背中にってことで、二人の背中に乗って登らせてもらった。
ショルダーであがると遡行図にも書いてあるが今思い出しても罪悪感けっこうある。ショルダーあまり好きでない。
決してお上品な人生を歩んでるわけではないけれど、それでも土足で人の背中に仁王立ちする時がくるとは思わなかった。

しかし、実は入渓する直前に同チーム予定だった田中さん(♀)が帰りの配車の関係で別のチームに行き、トレードする形で大手さん(♂)が滝上谷チームに来たのだ。
さすがに女性の田中さんの背中には乗れなかった(多分)ので、このトレードは神采配だったように思う。


次の滝は難易度的には巻かなくてもいけそうな感じで塚越さんと大手さんもヒョイヒョイ登っていったが、上部の岩のヌメリが嫌らしいとのことでやっぱり巻くという判断に。
こういう判断はもう経験積んでいくしかないよなぁ。嫌なヌメリと良いヌメリとかあるの?よく分からない。


上部にヌメリありとのこと


左右から巻けるが、ズルッズルで悪い。浮石も多いので要注意。


休憩を1回挟み、時間もないのでどんどん進む。


14:00 裏見ノ滝




スーパーハングの15mの滝。
写真じゃ伝わらないけど良い光景だった。4人ともはしゃいじゃってベタな滝行写真をキャッキャ言いながら撮っちゃったり。

大きな岩を回り込み遡行図通り滝の裏に出るととしっかり右側に巻道がある。


裏見ノ滝



「一瞬で撮れよ!一瞬で撮れよ!!」(水が冷たいから)


あれ・・本当に写真じゃ伝わらないな・・こんな小便小僧レベルの水量だったっけ・・。


そういえば滝直前にタヌキの亡骸があった。
最初は、”怨みの滝”に屍とはなんともなシチュエーションだな・・と思っていたが今遡行図を確認してみたら”裏見ノ滝”で割と本気でビックリした。あっ、そっち?

思わず顔を歪めてしまったタヌキの死体だったが、それを他の動物たちが食べ、分解されて土となり大地への栄養となって木々が根を張る。その木の根を頼りに我々登山客がむんずと掴み、山を登っていく。
タヌキちゃんから登山に半ば強引に繋げてみましたが、この世の中に無駄な命なんてないのは確かなことで。そう思いつつ足に目をやるとタイツの上にイモムシがとぐろを巻いてへばりついていたので、「うわぁー」つってデコピンで吹っ飛ばした。

ただ木の根に頼りすぎると、全然根を張れてないダミーの根っこを掴んじゃって落っこちるよね。
今後はもうちょっと気をつけよう。


最後の難所の滝もやっぱり、突撃・穴井くん。
重心移動をスムーズにこなし華麗に登っていく穴井くんを見ながら、「お前たちにあんなムーブができるか・・?」と言ってきた塚越さんの目は完全にハートになっていた。


メインの場所はそこで終わり、後は一般道に出るために急斜面を登る。
度々出てくる巻道でもそうだったが積もりに積もった落ち葉がものすごくて足をズルズルとられる。
他の3人は体力も脚力もあるので急登を二足歩行でしっかり進んでいくが、こちとら大の運動音痴なので、豚がトリュフでも探してんのかって体勢で後を付いていく。


15:30 一般道



ヤマップを頼りに下山路へ。
天気がいまひとつの沢登りだったがここの道ではとても気持ちの良い天気の中歩くことができた。
10分くらい歩くとビューポイントに。







昨晩の2時頃まで土砂降りで、沢登り中止のメールを今か今かと待っていたのは遠い昔。
本当に晴れて良かったし決行して良かった。
みんなもその景色と達成感に思わず笑みが溢れる。




あれ・・やっぱり写真じゃ伝わらないな・・。
笑顔溢れてるんだけどねー、逆光がねー。


16:00 下山


晴れやかな気持ちのまま下山。レール?のような設置物に沿って。

すぐにぶっ壊れる膝持ちの私のために塚越さんが、ゆっくり下ろう、と提案してくれた。
それでもどうしても遅れてしまい、みんなと50馬身差くらいついてしまったが後ろからみんなの下り方、足の使い方を見ることが出来て勉強になることがたくさんあった。
先週泣きに泣いた、ヌク沢(甲武信岳)下山で重盛さんたちが言ってたのはこういうことかー、と。


序盤の滝で予想以上の時間を使ってしまい日没までに下山できるか不安だったが、車には17:30に戻ることが出来て一安心。




ヨモギの湯でサクッと汗を流した後しばしの間キャンプ場で、泊まりメンバーに混ぜてもらってお互いの沢登りの報告をし合い、話に花を咲かせる。




メンバーが全員下山したのを確認して日帰りメンバーは大手さんの運転にて帰宅。行きも帰りもありがとうございます。
行きの車の中で、「下山したらみんなで傷の舐め合いをしよう。」なんて冗談を言い合っていた日帰りメンバーでしたが、それぞれ充実した沢登りが出来たみたいです。


今回私の参加した滝上谷の教訓としては、秘境には気をつけろ!ってことで。

2 件のコメント:

  1. 初めまして、小川谷のブログ拝見しました。
    入渓の際の巻き道は一石山神社から燕岩を巻いたのですか?

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    1. 初めまして、返信が遅くなり申し訳ありません。
      おっしゃる通り、石山神社から巻いて入渓しました。
      日程通りであれば今は工事も終わっているのでそのまま真っ直ぐ登山道を進んでいけると思います。

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