滝谷 クラック尾根 2018/11/23-11/25

日付 2018/11/23(金)-11/25(日) 天候 1日目:曇り→晴 2日目:快晴 3日目:曇り 参加 :瀬沼(CL)、久野、阿久津(投稿)
 アルバム :https://photos.google.com/album/AF1QipOaBfyIem9FXwSpG6iquCJyPPuV9y85HKB3Ml-z


≪コースタイム≫
1日目
新穂高温泉(7:30)→白出沢出会(9:00)→荷継小屋跡(11:00)→奥穂高山荘(17:00)
2日目
奥穂高山荘(4:30)→北穂高小屋(9:30)→B沢下降点(10:00)→登攀開始(10:40)→北穂高岳山頂(17:40)
3日目
北穂高小屋(7:30)→奥穂高山荘(11:00)→荷継小屋跡(13:30)→白出沢出会(15:00)→新穂高温泉(16:00)

≪コース状況≫
時季が早いこともあり西尾根からのアプローチではなく、白出沢の夏道を利用することができました。奥穂高山荘までは雪が多い所でも脛ラッセル位で特段問題はありませんでした。奥穂高山荘から北穂高小屋までは強風とラッセルの厳しい状態でした。とにかく雪が締まっていないふかふか状態で厭らしい状態でした。
B沢下降もふかふか雪で足場が安定しない状態で雪の中に隠れた落石が多く落下してきたいり悪い状態でした。
時間の都合もありクラック尾根をトポ図とおり登攀しませんでしたが取付きの横断バンドまでの階段状の凹はふかふか雪で落石が多く厭らしい出だしでした。

≪登攀具≫
・マスターカム0~3 ・キャメロット0.75~3 ・アルパインヌンチャク 11個
・シュリング120、180、360 ・ハーケン 2枚 ・トライカム0.25~3

≪感想≫
瀬沼さんと厳冬期北岳バットレス登攀を目指す中で、時季は早いですがトレーニングとして滝谷クラック尾根を登ってきました。結論としては、シーズン初めにお腹一杯になるぐらいの楽しい登攀をすることができました。
データー収集の段階でも色々なパーティーの方々が滝谷にたどり着くことが核心と書いている方がいらっしゃいましたが、本当にそのとおりでした。3日間の計画であわよくば2ルートを登りたいと考えていましたが、
甘い考えでした。

初日は、天気予報のとおり午前中は新穂高温泉でも降雪がありラッセルを覚悟していましたが、多い所でも脛ぐらいのラッセルで快適に奥穂高山荘へ行くことができましたが、計画していた北穂高小屋までは行くことができませんでした。2日目も北穂高小屋まで昭文社のコースタイムとおりに行けると考えていましたが、ふかふか雪が厭らしく岩に載っているだけなので予想以上に時間が掛ってしまいました。

クラック尾根
下降点のB沢は北穂高小屋から150mぐらい下降した位置にあり直ぐにB沢下降点だとわかりました。

クラック尾根取付き点まではB沢を250mぐらい下った場所に階段状のバンドがありビレー用のハーケンが設けられていました。自分たちは時間の都合もあるため1P目までは下りずに旧メガネコルを飛ばす形で登りました。
【取付き点 40m  リード:瀬沼さん】
雪が多くて締まっていれば快適な階段状のルートだと思いますが、ふかふか雪では浮石が多くバイルがきき難い辛い出だしでした。

【取付き点ルート残り 15m リード:久野さん】
トポ図とおりなら1回で懸垂支点までいけるはずなのですがロープが足らなかったため、2回に分けて登りました。ガバになる石だと思ったら浮石で気が抜けませんでした。

【3ピッチ目 25m リード:瀬沼さん】
V級の綺麗な1本線クラックですが抜け口あたりのフェースにスタンスが無いため、アイゼンでは両足をクロスさせる事も出来ないため、本当に辛いルートでした。瀬沼さんはチョックストーンに全腕力を使って体を引き上げたそうです。個人的には一番難しく感じました。

【4ピッチ目 20m リード:久野さん】
本ルート核心のじゃんけんクラックですが久野さんは左側(Ⅴ)を選択、クラックを終えてから右側にトラバースするところも以外に悪くて最後まで気を抜くことができないルートでした。大きな浮石が中間点にあり何時落ちて来るか分からない恐怖との戦いでした。このルートでキャメロット#1を落としてしまいました。

【5ピッチ目 40m リード:瀬沼さん】
脆い凹角を詰めていきますが脆いと記載されているとおり、浮石だらけで離陸時に右足を載せた大きな石が剥がれ落ちて恐怖でした。

【6ピッチ目~7ピッチ目 80m リード:阿久津】
トポ図にはⅢ級の雪稜と記載されていましたが雪が無いのと雪がふかふかでバイルがきかない思っていた以上に辛いルートでした。

【9ピッチ目 45m リード:瀬沼さん】
既に夕暮れになっていたため、ザイルを延ばせるところまで延ばしたので45mぐらいのピッチになりました。
瀬沼さんがリードしていた時はギリギリ明るかったのですが、自分たちが登り始めた時は既に暗闇になっておりヘッデンの明かりをつけて残業をしながら登りました。思っていた以上に雪が締まってバイルが刺さるので安心して登ことができました。

【10ピッチ目 10m リード:久野さん】
登り始める前から見えている先が終了点ではないかと話していたら本当に終了点でした。久野さんが「おっ!」と声を出したので、まだ岩壁がこの暗い中で出てくるのか心配になりましたが無事に終了することができました。


ルート全体的にグレードは優しいと思いますが、日没が迫っているなかでの時間との勝負になったことでリード遅い自分が迷惑を掛けない様にリードする回数を減らしたことが悔いに残りましたが滝谷まで来るアプローチも全部含めて楽しめたルートでした。時季が早いと浮石が多いことが分かりました、雪パックがされた時季であれば快適に登攀できると思います。


3日目は朝から視界がほとんどない強風の中でルーファイに1時間ぐらいかかり北穂高岳から抜け出せないかと思うぐらい悪い状態でした。前日に付けたトレースは雪に埋もれており岩もエビがびっしりついており、目印が見えない状態でした。ルートを見つけて落ち着いた頃に一瞬視界が回復して見えた光景にぞっとしました、先ほどまで自分たちが立っていた場所がドームの頭であることが分かり間違って懸垂下降でもしていたら帰る事が出来ない状態だったかもしれませんでした。その後も、飛騨側は強風、涸沢側はラッセル地獄になっており、本当に奥穂高山荘まで気が抜けない状態でした。白出沢のガラ場は積雪のおかげで初日より歩きやすい状態でした。白出沢の出会いに到着した時は本当に安心しました。






今回は3日間でしたが非常に充実した内容でありました。本当にアプローチが核心になるルートだと実感しました。過酷な状況のなかでも3人で楽しく充実した冬期登攀が出来て満足した山行になりました。瀬沼さん、久野さん、一緒に行けて最高に楽しかったです。

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