2017/7/15-17 北岳バットレス

日付 :2017/7/15(土)-17(月)  天候:晴れ-晴れ~曇り-晴れ   参加: 渡邉、安波(投稿)
【日程】1日目:偵察 2日目:登攀日 3日目:下山(時間は後述)
 ~ついに登攀の日を迎えた。~
 ずっと憧れだった北岳バットレス。苦節3年、やっと天候に恵まれた。昨年は何度となく計画をしては雨に降られ。。。七夕には晴れる様願い事を書き、こっそり職場の絵馬にも願い事を書き。。。その甲斐あってか?今回はそこそこ天候に恵まれた。秋の記録が多いが、時間がかかることを想定し、日の長いこの時期をあえて選んだ。(結果的に正解だったかも)しかし、今シーズンのバットレスの記録が一つもない・・・小屋番さんには「今の時期に登っている人なんていないよ」とやや呆れられ・・・そう、日本列島はまだ梅雨開けしていない。今年は雪が多く、かなり残っているとの事。取りつけるのか・・・不安・・・。でも、行かなきゃ判断できるわけがない!とにかく向かってみました!
【1日目】晴れ
行動時間:厚木-芦安市営第8駐車場(5時半着)-広河原-(2時間半)-白根御池小屋-偵察-白根御池小屋テント泊-20時就寝
お池と北岳
 眠い目をこすりながら芦安へ。予定より30分押しでのスタート。まぁ偵察だけだし、ということでOK。駐車場はすでに第8まで埋まっていた。なんせ海の日の3連休・・・みんな海行こうよ。タクシーまで遠いなぁ・・・と思ったら、乗り合いタクシーが待っていた!2人組を探していたので名乗りをあげた。ラッキー!約50分、景色を眺める間もなく爆睡、ちょっと残念。
 暑さにヒーヒー言いながら、ベースとなる白根御池小屋へ到着。後半は夏バテ状態でペースが上がらない。。。ごめんなさい。テン場はまだまだ選び放題。主にクライマーの様子だった。ハイカーの出足はもう少しゆっくりらしい。テント設営を済ませいざ偵察へ。
真夏の大樺沢
 ちょっとのんびりし過ぎたけれど、昼前には偵察へ。真夏の日差しは痛いが、雪渓を吹く風は冷たく心地よい。
 今日の偵察はほんとにほんとに偵察。そもそも取り付けるのか?どこから?アイゼン、ピッケルは必要?バンドに雪はない?etc...クライマーが居る事に少し安心感を覚えたり、明日の渋滞を考えてうんざりしたり、渋滞の原因にならないか不安になったり、と、頭の中は常にいろんな思いに支配される。
たぶん目印の大岩
 なにせこんなに雪がある写真を見ていなかった。イメージの目印の大岩と違う・・・ほんとにこれか?小さくない?位置は合っているはず。手前の雪渓から順に、バットレス沢→C沢→D沢。C沢とD沢の中間尾根から下部岸壁取り付きを探しに行く。
ピラミッドの頭とC沢
 上の写真の位置から中間尾根に入る。C沢右岸より踏み跡あり。ここで偵察帰りのクライマーと遭遇。下部岸壁取り付きについて質問。「シュルンドはぱっくりあいている。1.5mくらいの渡れる所がある。みんな使ってそうだから、いつまでもつか?」とのこと。情報提供ありがたや~。
 それにしても岩がテカテカ!?さすがチャート。。。
明瞭な踏み跡をたどる。
C沢D沢が出会うように見える所。左の雪渓をトラバース?
雪渓を斜上&トラバース。でも、行ったら帰れなそうなので、偵察はここまで。概ね場所は確認。
✿✿✿
 一面お花畑!テンション↑↑↑登攀具デポで身も心も軽くなった。
 テン場に戻るとこのあり様。いやぁビックリ。イロトリドリでどっかのフェスかなぁみたいな。インスタ映えとか言われるのってこんな写真かな?それにしても大混雑。町より多いぜ。
テントと北岳

  明日に思いを馳せながら20時就寝。19時を過ぎて暗くなってくると、就寝者続出。あれだけ混んでいても、賑やかなパーティーは何処にもなく。マナー向上委員会でもあるのかってくらい静かなテン場で。いつもの賑やかさは、はて?(^^;ライトの灯ったテント村を撮りたかったのに、ちっ。

【2日目】晴れ→曇り時々小雨
時間:起床(2時半)-白根御池小屋スタート(4時半)-二俣(5時)-目印の大岩(5時40分)-10分-中間尾根-(40分)‐登攀具デポ地(6時半)-下部岩壁取り付き(7時15分)-9P-第4尾根主稜取り付き(11時45分)-7P+懸垂1P‐登攀終了(16時)‐北岳頂上(17時)-白根御池小屋着(19時)

 天気予報は午後から雨。サクサク登らないとまずいか。真っ暗なうちから他のクライマーは動き出している。ハイカーの出足も早い。
 今日の目標はとにかく明るいうちにテン場へ戻ること。あたしはあと2つミッションがある。キタダケソウを探すこと!それからお花畑を漫喫する事!ミッション達成なるか?!
4時半 スタート!
5時 二俣へ到着。アイゼン装着。
5時40分 目印の大岩あたり。いや~ほんとに天気崩れるのか?
大岩から約10分、C沢D沢の中間尾根へ。C沢右岸でアイゼン解除。踏みあとを辿る。
C沢のみ水流あり。
6時半 
踏み跡をたどること40分、登攀具デポ地付近へ到着。C沢D沢が出合うように見える。
雪渓のトラバースのため、再度アイゼン装着。登攀準備も整えた。

 ビラミッドの頭を正面に下部岩壁取り付きまで雪渓を斜上&トラバース。あたしにとっては結構急な斜面。本日の核心で、慎重に・・・・・滑ったら数100mは。。。と思うと怖くなる。顕著な尾根は第5尾根。向こう側に渡らねば。。。
あたしはまだ雪上歩行がヘタクソで、もたもた。あ~~~…シュルンドがパックリ…渡れるところを探したものの、降りるのは怖い。。。選択肢は進むしかない‼
バックステップで約1.5mシュルンドを降りる。ピッケル持ってきてよかった~。
7時15分 
 やっと下部岩壁取り付き。アイゼンを解除し、再度登攀準備を整えた。雪渓処理で45分を要してしまった。5尾根支稜より取り付く。7時半、1P目は安波からスタート。ツルベで登る。岩稜にはお花がたくましく咲いていた。ミヤマオダマキが咲いていたが、カメラは封印していたので、写真がない…まだ先にも咲いているかと思いきや、ここだけだったな。。。
2P渡邉リード 
3~4P お花畑の谷
ほぼ歩きのピッチ。今思えば、ここを詰めたのが間違い???でも上にバンドみたいなのがある感じだったんだよなぁ・・・結局Dガリーをつめたと思われる。
9時 
 ヘリが来た。bガリーで滑落事故があったらしく、ヘリが出動。音にビビる。「近くに来て風で飛ばされたらどぉしよう」とか考えてた。bガリーからアプローチをしているパーティーも多かったなぁ。自分だったかもしれないとも思ってしまう。・・・・・・?!ここ、もしかして横断バンドへのトラバース道?もはや確認しようがない。。。

5~6P 横断バンド、と思って2Pトラバース。快適に歩く。一面のシナノキンバイ!にやにやが止まらない。結構長いトラバース。しっかりバンドになっていた。
7~9P   大テラスが見当たらない…本格的に間違えた?上へ向かって3P伸ばす。

11時45分 第4尾根主稜取り付き到着

  途中、ピラミッドフェイスに入り込んだかと思ったり、被った岩を乗っ越すなんて場所が出てきちゃったり。。。おいおい、こんなルートなわけない!、と思いながらも尾根は合っているはず、と登っていくと発見!!!目印の赤い4の字!通り過ぎたかと思ったぜ。人工的なペンキの赤い字に安堵したことに情けなさを感じた。
  こんなに登ったのに、9Pも登ったのに、やっとスタート地点。雲行きも怪しくなってきた。。。マキで!しかしここからは先行パーティーを待ちながら。
  四尾根主稜1P安波リード。クラックがさっぱりダメだった。50mいっぱいに伸ばしたら、あと2m足りなかった!少し登ってもらって解決!
鳳凰三山と大樺沢
 マッチ箱の 懸垂地点まで5Pのところを、50mロープをいっぱいに伸ばし、3Pで登った。スラブはかなりのランナウト。クラックはまたあたし。なんとか越えたけれど、練習しないとな。課題が見えました。この辺で雨がパラツキ不安がよぎる。スラブが終わってて良かった~。すぐに止み事なきを得た。無事下山出来るのか?帰りたい一心で登っていた。。。また情けない、、、

マッチ箱懸垂地点から振り返ったリッヂ
13時半 先行パーティーの懸垂待ち。
懸垂後の順番は渡邉リード。枯れ木テラスまで伸ばしても良かったけれど、待ちがあるのでピッチを切る。テラスまでは2Pにした。
枯れ木テラスからはトラバース、渡邉リード。思いの外怖くはない。視界がよかったら違ってたかな?
後続パーティ懸垂中。あの岩…時間の問題?
最終ピッチのチムニーは安波リード。クライマックスを迎える。帰りたいと思ったくせに、終わってしまうのが残念な気持ちになっていた。崩壊後の核心ピッチだが、下部岩壁のほうが難しかったかも?
16時 登攀終了。4尾根主稜、7P+懸垂1P。トータルで・・・16P+懸垂1P?!どんな大ルートだよ(^^;抜けきるといちめんにお花畑が!最高のご褒美だ。コレが見たくて来たんだった‼お花畑見るのって、これだけの大変な思いするんだなぁ。
頂上を目指して踏み跡を辿る。

ハクサンイチゲ畑!
様々な種類の高山植物。これでもかと咲き誇っていた。3000m付近に広がるこの光景、一見の価値あり!クライマーにしか味わえない景色、ってところに特別感を覚えた。つい足を止めてしまい足が進まない。晴れてほしかったけれど、ガスった風景も雰囲気があって良きかな。
17時 北岳3193m 登頂!
初めての北岳はバットレスから。願いが叶った。展望は望めず。時間も迫っているので早々に下山開始。あれ?登攀終了から1時間経ってる(^^;通常20分くらいらしいです。
カメラを封印、駆け足で草すべりから下山。とにかく明るいうちにテン場を目指せ!肩の小屋泊にならなかったのは救い。途中晴れ間が見えた。稜線っていいな。
西面もにぎやか
19時 白根御池小屋到着

【3日目】晴れ
 ゆっくり下山
 登りの時には気が付かなかった。美しい巨木の森。
 苔と木漏れ日のコンビネーションが最高
 名残惜しく北岳を振り返る。お疲れ様でした!

*****
 やっと天候にそこそこ恵まれ、憧れの北岳バットレスを登攀できた。今度も登りはバットレスからがいい。途中帰りたい・・・なんて思いが過ったものの、下山するとその思いはどこへやら。次はどこへ行こうか?またアルパインの深みにはまった連休となった。速く登攀できるようになって秋に再訪したい。
 今回もいろいろありがとう。また次回!
  あ、キタダケソウは見つからず。。。
おわり





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