ブログが長くなってきてしまった。
1泊2日(+予備日1日)の山なのに。
===
2日目 曇り
今日も無風で視界良好。多少の雪はちらついても、大きな崩れはない予報。
予備日の分の肉とほうれん草を放り込んだ豪華ラーメンをかきこみ、ヘッデンをしまって出発。
平和なラッセルを5人で回してゆく。
尾根が入り組んでいてわかりづらいが、我々は正面の岩峰を右から巻いてすぐに稜線に戻る。
この手のルートどりにもだいぶ慣れてきた。来た甲斐があったというもんだ。
あれ?
なにやら見栄えのするリッジになってきた。難所はまだ続くのだろうか。
スコップを振り回してのラッセル。非常に効果的。
本人は大まじめで片方のスタンスに立ちこんで、要するにクライミングのつもりなのだが、写真ではご覧のとおり。
あれれ・・・?
おかしいな、核心部は昨日で終わったと思ったのだが。
たぶん、昨日皆で軽口を叩きすぎて金城山の神様が怒ったのだろう。
都合4ピッチロープを出し、荷揚げ、肩がらみ確保、木登り、岩登り、いろいろやって、やっとこさ1100mの頂稜に乗った。
さすがにもう何も出てこないでしょ、と思いつつ、神の御怒りが怖いので口をつぐんで歩く。
それがよかったのかどうか、あとは快適な雪堤歩きで1150m地点へ。
さっきまでの苦労がウソのような林間ハイキングとなり、脛前後のラッセルに飽きたころ、山頂に到着。
解放感満点の広々とした山頂で、本日初めてのまともな休憩。
軽口も復活した。よーし、今日中に下りるぞ!!
でもこの解放感、ちょっと危険な香りが・・・
嫌な予感は的中するもの。
ルートファインディングが核心の下りで、ガスがやってきた・・・
金城山名物の岩峰の巻きで、シュルンドを避けて岩峰の縁を歩いていたら、向こう側の雪庇が
ズドン!
と落ちた・・・
岩峰からの急斜面の下りで、60㎝の深さに弱層があり、念のため一直線に一人ずつ降りた・・・
ようやく目的の長崎尾根に乗ったら、我々を嘲笑うかのようにガスが消えた・・・
金城山の神様は、わざわざ大変な思いをしに神奈川からやってきた珍客をもてなすために、最後まであの手この手の接待をしてくれたようだった。
結局、入山から下山まで、人間とも、人間の足跡とも出会わなかった。
出会ったのは、巧みなルートファインディングで尾根を行ったり来たりするカモシカと、ウサギ、キツネの足跡だけ。
茅ヶ崎に入会して初めてリーダーを志願した今回の山。
拙いリーダーだったが、一緒に過ごせた仲間、留守を預かってくれた仲間のおかげで、なんとかここまで来ることができた。
事前にわかった二つの情報は、必要にして十分だった。
あとは行ってみてのお楽しみ、という未知こそが今回の山の最大の面白さであり、その未知を克服する力量を問われているという実感が、前進し、あるいは立ち止まる力になった(たいていは前進していたけれど)。
これからも、茅ヶ崎の仲間とともに、隠れた名ルートを訪ねる山旅を続けてゆきたい。
長崎尾根末端の神社は秋葉山神社というのだと、通りかかった地元の方が教えてくれた。
除雪された車道へと延びる参道の正面に、もう沈んだはずの夕陽が、ちょっぴり眩しかった。
===
1/12 中川新田8:00―北尾根取付8:50―岩峰(10m+10m+歩き+40m)14:00-15:00―930m天場15:20
1/13 出発6:30―核心部(10m+歩き+20m+25m+歩き+10m)7:30-11:20―金城山12:30-55―秋葉山神社17:00
お疲れさまでした!!
2019.1.12-13 金城山北尾根 (その1)
日付 2019/01/12(土)-13(日)
参加 鈴木(CL、投稿)、塚越、宮崎、越野、中村
アルバム :https://photos.google.com/album/AF1QipPPVH5MD6R4o5AVog8jxBeMhWfRO73xCmF9EEch
金城山北尾根 って、結構ミーハーな対象だと思っていたのだが、メーリスに流した山行予告への反応は意外なものだった。
「どこの山?」「どんな本に載ってたの?」
どうやら、あまりメジャーな山ではないらしい。すくなくとも茅ヶ崎では。
それならと、「go○gle」と「Yah○o」で検索してみた。
どちらも、最新の記録は2006年。
まさかそれから登った人がいないわけでもあるまいが、どこを登ったと言ってはネットに上げ、どこを登れなかったと言ってはブログに上げ(←俺たちだ・・・)、フルカラーの厳選ガイド本が売れる、近頃の文化?からかけ離れた存在であることは間違いない。
これはひょっとして「食○ログ」や「ホ○トペッパー」には載らない、隠れた名店なのかも。
ちなみに(前置きが長くなるが)ネット情報でわかったことは二つ。
・懸垂下降が1か所出てくる
・あとは雪の状態次第
さしづめ「この寿司屋に入ったら玉子焼きを頼むべし」「味は仕入れ次第」といったところか。
前評判どおりの結果を期待する向きには敬遠されるだろう。
できれば然るべき山岳会の年報でも調べに行こうと思っていたのだが、時間が作れず、今回はこの情報で我慢することにした。
===
1日目 晴れ
そんなマイナー?なルート、しかも計画書に「トレースがついていたら隣の尾根に変更」とか但し書きしてある計画でも、参加してくれる人はいた。それも4人も。
水無沢を挟んで左が水無コース、右が今回の北尾根(塚越さん作図)。
今年はまだ少ないそうだが、北面にはいちおう雪がついている。
夏の登山口へと続く農道にはトレースはなく、第一関門はクリア。かといって新雪のラッセルというわけでもなく、条件はよいようだ。
末端から北尾根へ。さっそく岩峰が現れ、右を巻き上がる。尾根をはずれると膝くらいのラッセルになり、ところどころトップは空身で進む。
続く600mへの登り。ぬーっと切り立った岩峰が現れ、ビビる。
けれども、よく見ると歩いて通過できるルートがあり、ひと安心。
このあたりからルートファインディングが楽しくなる。
所詮は正面突破か、右から巻くか、左から巻くかの三択なのだが。
前進、前進、前進。
踏みこむと軽く膝上まで潜る。急斜面では雪に頭を突っ込んでのラッセルだが、そこそこ締まった湿雪で1,2回蹴りこめばしっかり固まってくれるので、見た目ほどの辛さはない。
ただ、つま先が反り上がったタイプのワカンは蹴り込みが利かないようで、皆苦労していた。
私は東京のさかいやオリジナルの反りのないワカンを愛用してきたが、今回の山でバンドが切れてしまった。今はもう作っていないそうだ。
現在流通しているものより一回り大きく、爪に厚みがあり、バンドもしっかりしていて、この手の山にはめっぽう強い。
ぜひ復活させてもらいたいのだが。
閑話休題。
マッターホルン状岩峰というのはこのあたりだろうか。
今回は雪が安定していたので気にしなかったが、もう少し間隔を空けて歩くべきだったか。
急登が続き、もう核心部を越したんじゃないかと思う頃、ヤブから頂稜へ巻き上がると、そこは小さなキレットになっていた。
ははあ、懸垂ポイントというのはここだな。
カモシカも、こいつら何をするんだという目でこちらを見ている。
クライムダウンできそうだったのでビレイしてもらって下り、最後尾だけ懸垂下降。
目の前には次の岩峰があり、こちらは、もはやこれまでかと思うくらい尖っている。
が、巻けた。もちろん雪の付き方によっては巻けない。そういう時は、谷底まで懸垂して登り返すことになるのだろう。そんな記録もあったっけ。
二つの岩峰を背に進む。
このあたり、左右からルンゼが入り込んでいて雪面の起伏が読みづらい。ナイフリッジだと思ってロープをつけて行ったら岩壁の基部の平坦地だったり、雪壁を登っていったら隣は易しいリッジだったり。
とにかくルート探しが楽しくて仕方がない。
それもこれも、天気のおかげだ。無風快晴、おまけに北面なので日射しで雪が腐ったりしない。吹雪いてたら、こんなところ登れないよなーと思う。僕らはラッキーだ。
そろそろ核心部も終わったかと思う頃、940mあたりに平坦地があり、今日はここまで。
目標の1150mまでは行けなかったけれど、もう200m登れば、あとは歩くだけだ。
なかなか楽しいルートだったなー。
明日の昼には下山だなー。
風呂と、へぎそばと・・・。
妄想をふくらませながら、宮崎さん仕込みの鍋に舌鼓を打つ。(つづく)
アルバム :https://photos.google.com/album/AF1QipPPVH5MD6R4o5AVog8jxBeMhWfRO73xCmF9EEch
金城山北尾根 って、結構ミーハーな対象だと思っていたのだが、メーリスに流した山行予告への反応は意外なものだった。
「どこの山?」「どんな本に載ってたの?」
どうやら、あまりメジャーな山ではないらしい。すくなくとも茅ヶ崎では。
それならと、「go○gle」と「Yah○o」で検索してみた。
どちらも、最新の記録は2006年。
まさかそれから登った人がいないわけでもあるまいが、どこを登ったと言ってはネットに上げ、どこを登れなかったと言ってはブログに上げ(←俺たちだ・・・)、フルカラーの厳選ガイド本が売れる、近頃の文化?からかけ離れた存在であることは間違いない。
これはひょっとして「食○ログ」や「ホ○トペッパー」には載らない、隠れた名店なのかも。
ちなみに(前置きが長くなるが)ネット情報でわかったことは二つ。
・懸垂下降が1か所出てくる
・あとは雪の状態次第
さしづめ「この寿司屋に入ったら玉子焼きを頼むべし」「味は仕入れ次第」といったところか。
前評判どおりの結果を期待する向きには敬遠されるだろう。
できれば然るべき山岳会の年報でも調べに行こうと思っていたのだが、時間が作れず、今回はこの情報で我慢することにした。
===
1日目 晴れ
そんなマイナー?なルート、しかも計画書に「トレースがついていたら隣の尾根に変更」とか但し書きしてある計画でも、参加してくれる人はいた。それも4人も。
水無沢を挟んで左が水無コース、右が今回の北尾根(塚越さん作図)。
今年はまだ少ないそうだが、北面にはいちおう雪がついている。
夏の登山口へと続く農道にはトレースはなく、第一関門はクリア。かといって新雪のラッセルというわけでもなく、条件はよいようだ。
末端から北尾根へ。さっそく岩峰が現れ、右を巻き上がる。尾根をはずれると膝くらいのラッセルになり、ところどころトップは空身で進む。
続く600mへの登り。ぬーっと切り立った岩峰が現れ、ビビる。
けれども、よく見ると歩いて通過できるルートがあり、ひと安心。
このあたりからルートファインディングが楽しくなる。
所詮は正面突破か、右から巻くか、左から巻くかの三択なのだが。
前進、前進、前進。
踏みこむと軽く膝上まで潜る。急斜面では雪に頭を突っ込んでのラッセルだが、そこそこ締まった湿雪で1,2回蹴りこめばしっかり固まってくれるので、見た目ほどの辛さはない。
ただ、つま先が反り上がったタイプのワカンは蹴り込みが利かないようで、皆苦労していた。
私は東京のさかいやオリジナルの反りのないワカンを愛用してきたが、今回の山でバンドが切れてしまった。今はもう作っていないそうだ。
現在流通しているものより一回り大きく、爪に厚みがあり、バンドもしっかりしていて、この手の山にはめっぽう強い。
ぜひ復活させてもらいたいのだが。
閑話休題。
マッターホルン状岩峰というのはこのあたりだろうか。
今回は雪が安定していたので気にしなかったが、もう少し間隔を空けて歩くべきだったか。
急登が続き、もう核心部を越したんじゃないかと思う頃、ヤブから頂稜へ巻き上がると、そこは小さなキレットになっていた。
ははあ、懸垂ポイントというのはここだな。
カモシカも、こいつら何をするんだという目でこちらを見ている。
クライムダウンできそうだったのでビレイしてもらって下り、最後尾だけ懸垂下降。
目の前には次の岩峰があり、こちらは、もはやこれまでかと思うくらい尖っている。
が、巻けた。もちろん雪の付き方によっては巻けない。そういう時は、谷底まで懸垂して登り返すことになるのだろう。そんな記録もあったっけ。
二つの岩峰を背に進む。
このあたり、左右からルンゼが入り込んでいて雪面の起伏が読みづらい。ナイフリッジだと思ってロープをつけて行ったら岩壁の基部の平坦地だったり、雪壁を登っていったら隣は易しいリッジだったり。
とにかくルート探しが楽しくて仕方がない。
それもこれも、天気のおかげだ。無風快晴、おまけに北面なので日射しで雪が腐ったりしない。吹雪いてたら、こんなところ登れないよなーと思う。僕らはラッキーだ。
そろそろ核心部も終わったかと思う頃、940mあたりに平坦地があり、今日はここまで。
目標の1150mまでは行けなかったけれど、もう200m登れば、あとは歩くだけだ。
なかなか楽しいルートだったなー。
明日の昼には下山だなー。
風呂と、へぎそばと・・・。
妄想をふくらませながら、宮崎さん仕込みの鍋に舌鼓を打つ。(つづく)
2019.1.6 大同心沢~小同心クラック
日付 2019/01/06(日)
天候 晴れ
参加 阿久津(CL)、久野、穴井、鈴木(投稿)
アルバム :https://photos.google.com/album/AF1QipOKMqjytpcogHH1l7l3JozBsRL79fPhAjSLY4ng
続いて久野さん。
キマってます!
アルバム :https://photos.google.com/album/AF1QipOKMqjytpcogHH1l7l3JozBsRL79fPhAjSLY4ng
今年最初の山は八ヶ岳に行ってきました。
阿久津さんに出してもらった4つの候補のなかから、いちばん無難そうなルートを選んだつもりでしたが・・・
===
0時、湘南発。美濃戸に3時半に着き、さっそく登り始める。鉱泉への道のそこかしこに倒木やら土砂に埋まった橋やらがあって、昨年の台風のすさまじさがうかがえる。
大同心沢に入るとようやく明るくなってきた。
小滝の下でヘッデンをしまい、アイゼンとバイルを出す。私は今シーズン新調の新・クォークを加え、ようやくダブルアックスの格好になった。反対側のバイル(今はなきアズター)にはグリップレストがないので、小指がかかるとこんなに引っ張りやすいものかと、ひとり感動。
今日は気持ちよく登れそうだ。(と、この時は思った)
見えてきた大同心大滝。ぶっ立ってます。
阿久津-鈴木、穴井-久野の順に、まずは最下段を登り、左のハング下まで。
A型で登るんだよ、と教えてもらうが、身体はもちろん教科書通りには動かず、よたよたとビレイ点に辿り着く。
上段は、遠目に見た通りのぶっ立ちっぷりで、講習会でしか氷に触ったことのない私には、正直難しいのかどうかもわからない。。
阿久津さんから取付く。が、すぐに戻ってきて、空身で再スタート。シーズン初バーティカルの体には辛いようだ。
今度は順調に中段を越え、垂直部分にスクリューを決めてロープを伸ばす。
でも、核心の傾斜はいったんパンプした前腕を受け付けず・・・選手交代。
キマってます!
ここでもシーズン初バーティカルの罠にはまり、空身に切り替える。
粘りに粘ってトップアウト!
穴井さんにはスクリュー回収&バックロープを曳いて登ってもらう。
久しぶりのうえに重労働で、さすがの穴井さんもきつかった様子。
そして鈴木のフォロー。この頃には先人の苦労が氷柱に刻まれて引っかけで登れる状態になっており、フィフィで休み休み、どうにか登り切ることができた。
もっとも、休み休みのくせに前腕はパンパン。これをリードできるようになるにはどれだけ通い込んだらよいのだろう。
学生には道具が高すぎ、社会人にはシーズンが短くて休みが足りない・・・アイスはなかなか難しい。
すっかり日が高くなってしまったので、先を急ぐ。
ひとつめの滝。
ふたつめの滝。
もうみんなお腹いっぱいで、とりあえず一番易しそうなラインを登った。
視界が開けてきて、源頭が見渡せる。本流にはまだ滝が出てきそうな雰囲気だったが、ここから左のルンゼに入って大同心基部を目指すことにした。
ルンゼ内で先頭を気持ち良く進んでいた時の鈴木。
でもここは、右の草付を拾えばラッセルゼロで済んだらしい。で、余計なラッセルが祟ったのか、私はこのすぐあとにペースが上がらなくなり、あっという間に使いものにならなくなってしまった。
同時に襲ってくる猛烈な空腹感。
ああ、シャリバテか、と気づいた時にはすでに遅く、なんてことない草付を、力尽きて落ちるんじゃないかと恐怖に震えながら這い上がる。
大同心基部で行動食を食べまくって少しだけ復活し、なおもふらふらしながら小同心基部へ。
時間も時間なので、小同心クラックは空身で。
真っ黒。
取付のフェースが核心だそうだが、ホールドスタンスが丸見えなので、困ることと言えばアイゼンが悲鳴をあげることくらい。上部で左へトラバースするという箇所はよくわからず、凹状をひたすら登って行ったら小同心の頭に出た。
横岳の稜線はすぐそこだが、今日はここまで。
結局ほとんど無風の一日、それでも立ち止まるとすぐ震えがくる寒さだった。
下降は凹角にロープが挟まりそうでおっかなかったが、久野さんの絶妙なルートファインディングで無事回収できた。
クラックの大同心側に2P目の下降支点あり。
往路の恐怖が抜けない鈴木は大同心まで戻る自信がないと駄々をこねて皆を困らせたが、腹を満たして見る景色は往きとはだいぶ違って見え、亀の歩みながらどうにか無事に大同心稜へ復帰できた。
===
高難度クライマーの先輩たちには、シーズンはじめの大同心大滝に打ちのめされてよい刺激になったようでした。
私にとっては未知の領域で、課題を見つけに行った山でしたが、登攀技術以前に山を歩く体力がないという残念な結果でメンバーに迷惑をかけてしまいました。
今年はゲレンデ通いや下界のトレーニングで満足せず、山に通って体力をつけるよう心掛けたいと思います。
皆さんありがとうございました!
美濃戸4:05-赤岳鉱泉5:30-6:00-大同心大滝(10m+20m)7:00-10:40-小同心クラック(30m+30m+20m)13:0-14:30-(懸垂40m+40m)―小同心基部15:20-赤岳鉱泉16:20-17:00―美濃戸17:55
登録:
投稿 (Atom)