20140510-03 春山合宿 剣岳 八ツ峰アタック

日付 2014/05/01(木)~03(土) 参加 高橋(CL)、伊三雄、塚越(投稿) Photo https://plus.google.com/photos/110771324764284100517/albums/6009812035763612449?banner=pwa
春の剣岳は3度目の訪問であるが、三の窓から本峰へと稜線を辿る上で、いつも憧憬となっていたのが八つ峰を登るクライマーであった。
去年一緒に剣尾根R4を登った高橋も似た思い抱いており今回のチャレンジとなった。完登後は後から来るメンバーと源次郎尾根も登るという少々欲張りな計画とした。



5/1晴後雨 扇沢7:30 室堂9:00 剣沢13:00
平日は始発が6:30ではなく7:30であったため、1時間待ってから乗車した。それにしても今年のGWは曜日並び悪く、まさに「平日」の扇沢であった。
室堂から歩き出す頃から天気は崩れ、剣御前の小屋を通過する頃には濃いガスと風雪に包まれた。本来であれば八つ峰の1峰、2峰間のコル
まで、前進する予定であったが夏の剣沢幕営地のトイレ横に幕営した。(御前小屋からトイレまでは赤布が整備、またトイレ掘り出し
されていたが、結局GW小屋の営業は無し。)



5/2晴れ 剣沢5:30 八つ峰1.5コル8:30 6峰手前のピーク14:30
昨日の雨から一転しての晴れだが、冷え込みは弱く長次郎雪渓までも結構グサグサ。朝挨拶した富山県警山岳警備隊の3~4名は源次郎尾根
にパトロールに行った。我々は夏と同様に長次郎を40分詰めた後、1.5峰へ上がった。トレースは先行している3人パーティのラッセル後
をありがたく使用。夏の記憶では1.5峰から1峰へは悪い這い松漕ぎで行ったが、雪に埋もれた今も、見た目結構悪く1峰往復は割愛した。




無風快晴の中、いよいよ縦走開始。雪は朝から腐った状態だが、雪稜自体は5、6のコルまではそれほど悪く無かった。問題は各峰からの下降。
2峰、5峰は夏の支点が利用できたが、3、4峰では先行パーティー手製のスノーボラードを使用した。今回のような水分の多い腐れ雪でも使えることに関心。ただし完全に体重を載せるような懸垂をするとロープが喰い込み過ぎ、回収不能となることを学んだ。
要はクライムダウンのバックアップのイメージである。
5峰で2ピッチの懸垂で先行に追い付き、5、6のコルで一息。先行パーティにトレースの御礼を言った。彼らは余りにも雪の状態が悪いのでここでビバーグし、明日朝抜けることを決断したとのこと。
この頃伊三雄さんと私は体調変化に気づく、途中で暑さのため帽子を脱いだが、強い日差しにより熱中症になり始めていると直感。
帽子を被りなおしてみると、2人とも即快複した。




6峰への登りは5峰から見た時は相当悪そうに見えたが、コルから見た時は思ったほどの傾斜も無かった。ときおりチリ雪崩も発生して
いるが、悪条件の冬でも登られていることなどを考慮した結果、我々は先へ進むことにした。
ロープを出し1ピッチ目高橋リード、支点が要所に這い松で取れた。2ピッチ目変わるが急傾斜での雪崩しラッセル。
3ピッチ目急傾斜トラバースを終えた後、ロープはしまった。
          




6峰ピークまで行くと主稜線が近い、またハイライトとなる急峻なナイフリッジが続く。この先幕営地は無いと判断し一つ手前のピークにバックステップで戻り幕営することに。翌朝に備えスノーボラードを6峰に作成しておいた。
テントでは酔っぱらった高橋が、ここからの景色に何度も感動していた。そうであろう夏冬含め剣岳2回目で八つ峰の核心部で幕営なのだ。



 5/3晴れ後曇り 6峰手前のピーク5:30 八つ峰の頭7:30 剣本峰9:10 剣沢11:30
昨日作成済みのスノーボラードは朝の冷え込みでカリカリの状態。この状態であればロープの喰い込みも少なく、テンションを掛けても回収不能にならないと感じた。
6峰から7,8峰を経て八つ峰の頭へ至る本日のルートは素晴らしい。特に8峰を巻きニードル手前のルンゼを直上、八つ峰の頭直下に出た時には完登が近いことも有り、感動ものであった。
ちなみに7峰の下りでもスノーボラードを手製。堅雪でもピッケルのブレードで掘り込めばわずかな時間で作成可能であった。
ただし設計ミスによりやや小さいボラードとなってしまった。この後通過するパーティを不安にさせたかもしれない。




八つ峰の頭から池の谷乗越への懸垂はシングルでちょうどであった。長次郎左股を登って来たスキーヤーに昼頃前線通過有り、天気崩れる
ことを知らされ、本峰での乾杯もそこそこに下山。平蔵のコルからは平蔵谷下降を主張する伊三雄さんをなだめすかし、前剣経由で剣沢に
戻った。登り返しを考えるとこちらの方が楽で早いと思われた。





あとがき:今回昨春に続き剣岳のビッグルートを登ることができた。もう少し早く来たかった思いもあるが、同行してくれる仲間がいたことに感謝したい。また立場上、後に続く後進を育てて行くことも重要であると感じた。

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