前穂高岳北壁~Aフェース 登攀
日程 7月17日~19日
メンバー CL水島 SL塚越 簑島
17日 上高地~新村橋~奧又白池
18日 奧又白池~B沢~Aフェース取付~前穂頂上~A沢下降~奧又白池
19日 奧又白池~上高地
記録:蓑島
7月の3連休に前穂のAフェースに行くという計画だったので楽しみにしていた。 まだ梅雨明け宣言がなされていないので天候が微妙なところだ
が予報は17日のみ雨で18,19日は晴天の予報だ 各地で順々に梅雨明け宣言が発令される。 上高地から新村橋を渡って暫く行くと案の定、雷が鳴き始めてきた。 雨足が段々と強くなってきて中畠新道は川の様だ 一段一段の段差がキツい道なので 奧又白池手前でバテてきた。 池に到着した頃には雨は収まった。 貸し切りかなと思っていたのに周辺には既にテントが5張りくらいあったか 明日もあるし疲れているのでその日は早めに就寝した。
18日3時30分起床 5時には出発する。本谷雪渓をトラバースしてバイルと軽アイゼンでB沢を詰める。 雪壁や岩場を乗り越えなんとか取り付き点までたどりついた このアプローチだけでも満足出来る登山だ。 でも勝負はこれからだ 始めに砂や小石だらけのいやらしい草付きを登る。 ハーケンを探しながら行くが 錆びて岩と近い色なので見つけづらい 続いて松高カミンを快適に登り終えると小石まじりのテラス越えになる。 ここで難しいルートを選択したが「やはり無理」と一旦下がり別ルートを探す なんとかクリア 次のピッチももろい石や小石、砂など混じって登りにくい 慎重に登り切るとやっと登りやすい快適なフェースが現れた。 岩にも馴れてきてやっとクライミングらしくなってきたところで最後にチムニーで終了し頂上へ 丁度12時前後だったか? 北尾根組が1組、一般登山者が4,5名 それほど混雑はしていなかった。 少し長めの休憩を終え いよいよA沢の雪渓下りだ 思っていた以上に急な斜面で 軽アイゼンでは少々心配だ。 なにせ滑ったら最後 止まりそうもない ザイルを出して懸垂することになってちょっと安心した。
支点が無いため 壁際にハーケンを2本打ち込んで降りる事になりシュリンゲ、カラビナなども残地することになった。 全部で何ピッチしただろう最初から最後まで懸垂は続く 最後の懸垂場所で今にも崩れ落ちそうな2トンダンプ一台分の大岩があった 全体が雪の地面に着いているのではなく5,6本の足だけで支えている状態だった 接点の雪がだんだん溶けて来ているのだろう 先に降りた塚越さんは通過するときに「今にも落ちそうだから大声出すなよ」と言っていた 続いて私もその岩の真横を懸垂で降りた。 なるほどやばそうだ でも重力は真下にかかっているので2.3日は平気ではないかと甘く見ていた。 そして最後のピッチを下りきり やっと雪渓の終了点について アイゼンを外そうと思った矢先、伊三雄さんが「逃げろーっ」と叫んだ。
ハッと上を見上げると雪渓の上部40m位先で爆音とともに白煙が上がった。一瞬「雪崩だ」と思い無我夢中で右側サイドにダッシュし身を伏せた。 すると今まで皆が休憩していた場所に40cm前後の石がゴロゴロと雪崩の様に崩れ落ちてきた。 さっき通過した 今にも落ちそうな2トンダンプみたいな岩が重さでバラバラになり崩れ落ちたのだった。 奇跡的に誰も怪我一つなかった 塚越さんのリュックが身代わりになってくれたおかげだ
それにしてもA沢の下降はしんどかった。 無事にテントに戻った時は感激であった。 その晩は祝杯を挙げたいへん盛り上がった。
次の日はまだアルコールが抜けていない状態で7時頃起床しテントを撤収した
帰りには嘉門次小屋の岩魚の塩焼きを食べた 少々値段は張るが塩加減といい焼き加減といい絶妙であった。
自宅に帰った次の日は全身筋肉痛になっていた。でも今回の山行は内容が濃くかなり記憶に残る事になるだろうし 色々良い経験が出来たと思います。
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